はまたに

ゴーストワールドのはまたにのレビュー・感想・評価

ゴーストワールド(2001年製作の映画)
3.8
私は私。いつだって本物。

なのに周りの人はああしろこうしろ、これがあなたらしい、あなたのためには云々かんぬん。うるさい。

私は私。でもそれ以外のことはわからない。自分が自分をわからないのに、他の誰が理解できるというのだろうか。

そんな心の声が聞こえてくるような作品でした。でも、これを書いている私は属性的にはスティーブ・ブシェミであって、ゾーラ・バーチでもスカーレット・ヨハンソンでもないのな。性別はさておき、観るのが100年遅かった。

そしてそのブシェミにしても、ヴェンダースの『Perfect Days』を観た直後とあっては彼の視点で物語を俯瞰することはできなかった。

お前の人生、それで最高なんだよ! こんなんじゃ彼女なんてできないよとか言ってしょぼくれる必要なんかないんだ! 人とは違っていても夢中になれるものがあり、共に語らえる仲間がいる! くたびれる暇なんてない! たとえそれがブルースに必要な感情だったとしても、お前は前を向けばいい! 笑え! もっと目を輝かせろ!

って、完全に Perfect Days の役所広司にやられちゃってブシェミへの共感力ゼロになっててだめだった。ということで、期待値ほどにはグッとこず。

でも、グレタ・ガーウィグの『レディ・バード』とか個人的満点の『エイス・グレード』、韓国映画の『はちどり』とかの青春こじらせ・葛藤系の作品はつぶさに観ていきたいなとは思ってるし、こういうのになんら感じ入ることもなく興味もなくなったらそれはそれでつまんないので、もうちょっと食らいついていこうかなと思います。

そういう若向けなものにも目配せできまっせ的なところが若きゾーラ・バーチにぶん殴られそうな態度ナンバーワンな気がするけど、構わん。私は私。他人なんてカンケーないのだ。
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