踊る猫

ブロンドの踊る猫のレビュー・感想・評価

ブロンド(2022年製作の映画)
3.6
「長えよ」(ハチミツ二郎の声で)。いや、その長さに見合ったストーリーの入り組み方、そしてノーマ・ジーンとマリリン・モンローの関係を批評的に描写する濃度/強度は認めたい。しかし観ていてちっとも胸がスッとしないというか、カタルシスを得られる瞬間がないのでまるで悪夢を観ているような気分にさせられる。そして昨今のポリティカル・コレクトネスを踏まえた状況において、ここまで「無力な女性が男たちに一方的に虐げられるストーリー」を描くというのも相当に問題があるのではないか。あるいはこんな底意地が悪い観方をしてしまうのは私がどこかラース・フォン・トリアーの仕事を連想してしまうからかもしれない。両者の映画は確かに、無力な女性が堕ちていく様を丁寧に(悪く言えば「くどく」)描くことが共通しているとも思う……と、ナンセンスで粗野な整理はこのくらいにしようか。あるいはこの映画、それこそ夢オチでもよかったのではないかと思うし、もしかしたら今日あたりアナ・デ・アルマスが私の夢に出てくるかもしれない。「ププッピドゥ」とか言いながら。
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