ショウコ

VESPER/ヴェスパーのショウコのレビュー・感想・評価

VESPER/ヴェスパー(2022年製作の映画)
3.4
硬派で重厚で蠱惑的なSF。はーたまんねぇな!
飢えに苦しむディストピアが舞台ですが、人類文化の崩壊した原因が「バイオ技術に手を出して失敗した結果」ってのがとても良い💮
ありがちな核戦争とかではなく、遺伝子工学という発想が出てくるあたりに時代の移り変わりを感じます。今となっちゃそっちの方がまだ現実的だもんね

魔法の森グロテスク版と言えばいいのかな…失敗のお陰で生態系がバイオしちゃっており植物の多くがウネウネ動く。荒涼とした大地に菌類とか胞子が舞い、変異してしまった自然を上手く利用しながら生きている人間たちの様子は日本人ならナウシカを思い浮かべるに違いない。おまけに主人公が独学で植物を研究している少女ときたもんだ

病気の父親を生きながらえさせている装置が外付けの臓器パックだし、その父親は移動可能なドローンを通してコミュニケーションを取る。スチームパンク入ってるけどマシーンの類は有機構造でなんかグロいし知能を持たず労働力として生産されたアルビノ生命体も出てきます。電気を起こすのに使ってるのは…光虫??

そんな感じでこの世界ならではの生物感増し増しガジェットとか生活様式がオリジナリティに溢れており彼等の暮らしぶりを見てるだけで気絶しそうなほど面白い😍コミュニティ外には冬虫夏草みたいなやつも居ます。寄生性の植物を登場させる作品は信用できる




…と、ステキ過ぎる世界観に対しストーリーの方はちょっと薄味。って言うかフワッとしててまともな説明が無く、完結もしないので「こういう話」と伝えられる所にすら達していない

ジャケの巨大脳ミソみたいなものは建造物であり富裕層が住んでいます。そこの雲上人を助けた事で世界の理を垣間見た主人公が反旗を翻すかも的な…ハンガーゲームっぽい流れになりそうなのはなんとなく分かった。続編が作られるのかは分からないけど素晴らしいビジュアルにクソ陳腐な話を載っけた「移動都市モータルエンジン」と似たような道を辿る未来が私には見える…🤔

主人公はムカつく目付きに味がある、とてもいい顔をしてます。レア・セドゥに似てる
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