ショウコ

ボーンズ アンド オールのショウコのレビュー・感想・評価

ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)
3.7
久々のニオイ映画だ!鑑賞後は自分の体臭が気になってしまうロードムービーです🚗
「生まれつき食人癖のある少女が人間を食べながら旅をする」という…見た事のないユニークな濃厚設定。だがしかし切なく、とても美しい

うっかりクラスメイトを齧ってしまった事で生まれ育った街から逃げ出すハメになるんですがこの時点でもう素敵✨美味しそうなニオイに引き寄せられる様にウットリしながら歯を立てちゃうシーンのリアルな事!「RAW」には嗅ぐ描写なんて無かった

旅の道中では何人かの「同類」に出会います。それぞれが食人に対してポリシーを持っており、食べるために殺人はしない縛りとか家庭のある人間は襲わないとか…中には「同類」でもないのに食べちゃう普通人まで出てくる。またお互いの発するニオイに引かれ合い鼻スンスンしてるのも実際ありそうで困る。スタンド使いかな?

四つん這いになってワイルドにかぶり付くので食後は口周りが血で汚れます。刃物でも使えば綺麗に食べられるのに…と思わずにはいられませんが、どうやら新鮮さが重要なので調理とかしてるヒマは無いらしい

ヴァンパイア物との違いはやっぱり…「同じ種族」を食べざるを得ない苦悩があるか無いかの差ですかね🤔




題材だけでなく見せ方もテンポも独特。移動する毎にOH(オハイオ)とかKY(ケンタッキー)といった州のテロップが瞬間的に出てきてロードっぽさが感じられるし美しいのか不気味なのか判然としないスコアもゾクゾクする。あとピッピッピッって段階的に迫るクロースアップ演出…何あれめっちゃ緊張する

グロ面は…露悪的なヒャッハータイプではありませんが皮膚が歯で破られる描写は痛そうなので圧があります。傷口も血の色もしっかりリアル




食人という強めのネタに霞み勝ちですけど、彼等には「愛と居場所を求め続けている」という共通点があります。それぞれが孤独に苦悩して道を選んだ結果の例をいくつも見せられ、自分の性質に適合する相手を見つけ出すのは普通の人だって大変なんだよなぁ…とシミジミしてしまいました

多分そのテの含みは最低限でもっと表面的な作品だと思いますけどね。観ても損はしないと思う
ショウコ

ショウコ