ショウコ

アンナと過ごした4日間のショウコのレビュー・感想・評価

アンナと過ごした4日間(2008年製作の映画)
4.0
「女子寮を覗くに飽き足らず窓から侵入したストーカー男」の主観を見せられる。そんな題材を扱っておきながらサスペンスやスリラーに振らず失礼だな純愛だよ(一方通行)という変な映画。めっちゃ面白かった

男性が黙々とこなしていく怪しい行動を見守る内に、彼が恋をしていて相手の女性に近付きたいんだけど事情があってちゃんと話ができない状況、感情、目的が見えてくる…🔎
結果だけ見ればただの犯罪者ですが、主眼を彼に置く事で「これは愛なんじゃないのか?」と我々に問いかけてくる切ない異色作

件の男性が周囲をキョロキョロしながら斧を購入するシーンから始まります。次のシーンでは切断された人間の手首が現れ、ははぁコイツやっちまったな?と思ったらそれはただ病院の廃棄処理の仕事をしてるシーンで、覗きに邪魔な木を切るために斧を使う描写が後で入る…といった具合に観客をおちょくる様なユーモアが織り混ぜられてて飽きが来ない

もしこの男性をスーパーイケメンにしてたらもうちょっと「許す」の方に引っ張られてたかも知れない…って考えてたらなんか泣けてきた




日本で起きた事件からアイデアを得たんだそうで、遠い異国の三面記事からこんな背景を作ってしまう発想に脱帽したし、寂れた古い街並み、物哀しいアコーディオンの音色、落ち着いた色彩、遠近混在の画面構成、イマイチ分からん時代設定(壁掛け液晶なんだありゃ)なども面白いんだけど何より話運びが素晴らしい👏

ほとんど台詞が無く時系列もイジってるのに時間差でピタッ!パチッ!とパズルみたいに繋がるプロットは完璧の一言です。やっぱ出会いって大事だね…
ショウコ

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