シネマの流星

とべない風船のシネマの流星のレビュー・感想・評価

とべない風船(2022年製作の映画)
5.0
東出昌大は、強さのなかにある弱さ、弱さのなかにある強さを同時に、しかも一瞬で体現している。セリフや表情のアップではなく、引きの画で。ここまで凄い芝居は久しぶりに観た。

10年前に上京したとき7ヶ月間ニートだった。その間に観たのが新宿のプラネタリウムで上映していた『桐島、部活やめるってよ』。あのとき東出昌大が見せてくれたものは、その後の何年間かの僕を動かしてくれた。強い者を唯一超えられるのが弱者。東出昌大が10年ぶりに教えてくれた。

映画は2時間で人生を映す。描かれなかったことのほうが多い。映画や人生は、答えあわせでも間違いさがしでもない。『とべない風船』の東出昌大は、語らなれなかったやさしさを語ってくれた。
シネマの流星

シネマの流星