シネマの流星

俺たちに明日はないのシネマの流星のレビュー・感想・評価

俺たちに明日はない(1967年製作の映画)
5.0
アメリカンニューシネマの夜明けを告げる写真機のシャッター音。滅びの予感と美学に満ちた赤く染まるクレジット、魔性の唇と裸体。世間体という皮を剥ぎ、ボニーは女に脱皮する。

男性機能が不能なクライドは社会に勃起する。ボニーは銃というペニスを咥える。ギャングから普通の夫婦になろうとするとき、ふたりはファックする。しかし、社会にファックユーした勢いは斜陽し、死の太陽が昇る。

男と女の幸せは尊いが、社会に不満を射精した頃の輝きはない。銀行強盗と殺人によって富と名声を得たボニー&クラウド。銃弾ではなく平和に殺された。悪名は無名に勝る。

ふたりの魂を成仏させるのはブタ箱ではない。蜂の巣だけだ。
シネマの流星

シネマの流星