これ、ベタベタのメロドラマだよね、、とむず痒い気持ちで観始めたけれど、メロドラマの柱に絡みつく時代とか社会とかが見えてきた時、むず痒さは消えていった。
まあ、でも、70年近くもの昔の作品にあれやこれや意味付けができるのは、その間に歴史があるからで、作者にしてみたらあと付けの大きなお世話なのかもしれない。そして、作品を傍観する私の自己満足に過ぎない。(でも、その時間が楽しいから、あれやこれや考えてしまうんだけど)
ぐちゃぐちゃにぬかるんだ泥道との境目がわからないアスファルトの道路を走るトラック。コンクリート製の立派な橋の上を走る蒸気機関車。少し前までは何もなかったであろう新興住宅地。激しい雨と明るい晴れ間。労働を終え帰路につく若者たち。そして今からまさに労働に向かう若者たち。
インテリゲンチャとワーキングクラス。
すべてが対比しているようにも見えるけれど、対比というよりは混在。線引きをしているのは自分たち自身。
夜間学校教師のタチヤーナが、初めて生徒たちが働く製鉄コンビナートに向かう時、知り合いに会いに行くの?という問いかけに「むしろ知らない人に、、」みたいなセリフが印象的だった。
苦労の末、爆発的に流れでた溶湯や突風に舞う問題カード、そして多点(三点リーダー)の意味と、題名の「春」にハッピーエンドと明るい未来を感じるけれど、春のあとには夏があり秋があり冬がやってくる、などと考えてしまうのもまた私の自己満足だ。