あんがすざろっく

ツインズのあんがすざろっくのレビュー・感想・評価

ツインズ(1988年製作の映画)
4.0
当時は肉体派アクションスターと言ったら、スタローンとシュワルツェネッガーが人気を二分していた。キャリアは勿論スタローンの方が長い訳だが、シュワルツェネッガーという、なんとも長く、日本人にはとんと聞きなれないスペルの名前は、あっという間に映画界に知れ渡った。というか、ここ日本では、お茶の間にまで知れ渡っていた。これは、スタローンでも勝てなかったと思う。その外見からはおよそ想像つかなかった、人懐っこい笑顔は、「シュワちゃん」という愛称もピッタリだった。
その彼の人柄を印象づける真骨頂が、アイヴァン・ライトマンと組んだ「ツインズ」だった。

未開の離島で、政府の遺伝子学研究の対象として育てられたジュリアス(シュワ)。頭脳明晰で運動神経抜群、俗世間に塗れることなく、純粋な大人に成長する。
ある日、彼を育てた博士から衝撃の事実を打ち明けられる。
ジュリアスには、双子の兄がいたのだ。
しかも、その赤ん坊の長所は全てジュリアスに、短所が兄に全て偏ることに。
研究チームには想定外の事態で、兄の存在はジュリアスには伏せたまま、兄は孤児院で育てられることになる。
自分に血が繋がった肉親がいると知ったジュリアスは、居ても立っても居られない。
会わない方がいい、という博士の忠告にも耳を貸さず、単身アメリカ本土へ向かい、兄を探す旅へ。

やっと見つかった兄と顔を合わせたのは、刑務所の面会室。
短所の塊として生を受けた兄ヴィンセントは、犯罪に片足を突っ込み、ずる賢くしぶとく生きぬいていた。
しかもその容貌はチビで太っちょ、ジュリアスの双子の兄とは到底言い難かった。

まず、このシュワちゃんと、兄ヴィンセントを演じたダニー・デヴィートの凸凹ぶりが最高だった。
容姿も性格もまるで正反対なのに、ちょっとした仕草に血の繋がりを感じさせる。一緒にお尻かいたりね。
そして、世間知らずのシュワちゃんが巻き起こすあれこれに爆笑。
飛行機の機内で、大声で歌い出したり、引ったくりに狙われるも、逆に張り倒してしまったり(本人には全くその気はなかったのに)、プレイボーイのグラビアを見て感動したり。
本当に憎めない。
そうそう、スタローンを一笑に付すシーンもあります。

更に最高なのが、ジュリアスに思いを寄せるマーニーを演じたケリー・プレストン。
奥手なジュリアスをリードし、見事彼の童貞を奪います。
この後のジュリアスの表情が笑えます。
当時中学生だった僕は、ケリー・プレストン(またはリーサルウェポン2のパッツィ・ケンジット嬢)になら、童貞を捧げてもいいと思ってました笑
馬鹿ですね〜。

ほのぼのコメディで終わるかと思いきや、ジュリアス達に危険が迫ったりと、サスペンス要素もあり。それでも全編通して楽しい映画であることに変わりはありません。
本作が公開された年の夏には、インディジョーンズ最期の聖戦もあり、やっぱりこの頃の娯楽映画って、手作り感のある温かさがあったし、肩の力を抜いて見れる作品が多かったなぁと思います。
いい時代だったなぁ。

ツインズの後、アイヴァン・ライトマンとシュワちゃんは再びタッグを組み、キンダガートン・コップ、ジュニアとコメディを連発しましたが、やっぱりツインズが一番楽しかったかな。

さてさて、その影でスタローンはと言えば、シュワに負けていられん‼︎と、自らも「オスカー」というコメディに主演しますが、これが大コケ。自分も劇場に観に行こうとしたら、一週間も経たないうちに打ち切りになってしまったという(笑)。
そんなところで張り合わなくても、スタローンには脚本家としての才能もあるのにね。
この頃はお互いの存在に触発されてたんでしょう。
時が過ぎて、エクスペンダブルズなんていう粋なプレゼントも貰えたんだから、今思い起こせば笑い話なんでしょうね。
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