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プー あくまのくまさんのドントのレビュー・感想・評価

プー あくまのくまさん(2023年製作の映画)
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  2023年。まぁ何ですか、想定していた以上に志が低い映画でしたね!! クリストファー・ロビンが森で仲良くなった異形の生き物たち。プー、ピグレットなどと名付けられた彼らはロビンが森を去ったのをきっかけに飢餓によって心がすさんで、そして5年後……
「くまのプーさん」の著作権が切れたのをいいことに、「おっしゃ! プーさんが人を殺す映画作ったら客入るで! これで一儲けや!」と作られた香具師感あふれるスラッシャー映画である。とは言えプーさんの造形は中年男性にゴムマスクを被せたみてぇな仕上がりで、たぶんドンキとしまむらで4000円あれば揃う。安い。
 ホラー度もド低く、たとえば玄関先の照明がカチカチ点滅する中プーさんがじりじりと迫ってくるという場面があるのだが、照明とは別で軒先に球状のパーティライトが下がっているのでプーさんのシルエットが丸わかり、結果全然スリリングじゃない、ということになっている。
 殺しやグロはどうかと言うとこちらも期待に応えないぬるま湯ぶりで、なんかどっかで観たような通りいっぺんのヤツの、さらにおとなしいヤツみたいなのしかお出しされない。あ、生首がワイパーに絡まるのはちょっとよかったね。あとは特に……見るものはないね……
 じゃあ物語はと言うと導入、「そんなわけでプーたちは人を憎むようになりました」なんてなアニメパートが一番力が入っており、あとはなんかね、人を揃えて、とりあえずなんかやっときました、みたいな適当さだった。いくらでも面白く練れそうなのに……。演出もね、どえらくザックリしてて、待たせる割には面白いことは起きなくて、終始眉間にシワが寄ってました。80分が長い長い。味が薄い薄い。雑なセクシーショットもスパイスにはならず。
 本当に、「おっしゃ! プーさんが人を殺す映画作ったら客入るで! これで一儲けや!」としか考えずに作ったことがよくわかる。ここまで来ると潔い……と褒めたい気持ちは残念ながら湧いてこない。あのですね、昔の便乗ホラーとか雑なスラッシャーとか、でももう少しこう、新しいモノや凄い殺しなんぞがあったはずで、そりゃまぁプーさんとピグレットが人間惨殺ってのは新しいけど、もう「それだけ」なのよ。それしかない。出オチというかネタでオチている。
 20世紀に乱造された殺人ホラーの数々と並べて比べてもかなり下の方に差し込まれる、アイデアとネタ性で客寄せして満足、といった作品でありました。志が低い。説教部屋行きというか、説教部屋に入れてから閉じ込めて鍵をかけておきたい、そういう映画ですね。えっヒットしたから続編を作る? ティガーとかも出る? そう……へぇ……
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