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ヴィーガンズ・ハムのharuのレビュー・感想・評価

ヴィーガンズ・ハム(2021年製作の映画)
4.5
グロ注意のブラックコメディ。

商売に行き詰まった倦怠期の肉屋の夫婦。
店を襲ったヴィーガンをたまたま殺してしまったことから、全ては始まる。

ヴィーガンの死体を処理する際に、
ハムにし保管して置いたものを、妻が間違って常連客に販売してしまう。
それがとても美味しい「イラン豚」だと街中の評判に。

夫婦は大人気商品となった「イラン豚」を仕入れるために、
ヴィーガンを狩り続けることに。

倫理的な問題だとかを置いておくと、
非常にユニークな発想で作られた作品。

「肉屋がヴィーガンでハムを作り大繁盛」

こんなブラックなストーリーを展開できるのが、まさに映画の醍醐味なのかもしれない。

すごいスピードでエスカレートしていく夫婦の連続殺人が絶妙にコミカルに演出されていて、やたらと笑えてしまう。

カニバリズム的な表現への嫌悪感を感じる人もいるかもしれないが、
個人的には、作中のヴィーガンが動物愛護の精神を持っているのにも関わらず、人間の心や体を傷つけることに抵抗はないのかという違和感の方が不思議だった。

もちろん実際のヴィーガンはそんなことないだろうけど。

大きな信念をもって活動する人たちは、
その信念に固執するあまり、
近くにある矛盾に気づかずに「悪」となっている可能性があるという社会風刺なのかもしれない。
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