へたれ

ヒトラーのための虐殺会議のへたれのレビュー・感想・評価

ヒトラーのための虐殺会議(2022年製作の映画)
3.8
良かったとこ1 凡庸な悪を描く巧みな会話劇
ヨーロッパからのユダヤ人絶滅という目的は残虐なのに、ここで行われるのは日常的にありそうな普通の会議の風景。そこで交わされるのは、縦割り組織のナワバリ争いや、優先順序をめぐる問題解決など。混血児の定義をめぐる言い争いとか、不条理劇的な展開があるのも面白い。
さらに、こんな不条理な会議が行われているのに、プライベートな話になると突然平凡な会話になるのが印象的。
ハンナ・アーレント「エルサレムのアイヒマン」で書いたような、無思想な悪の凡庸さがそのまま表現されているのが一番恐ろしかった。

良かったとこ2 会議劇の臨場感
BGMも無いし、劇中の時間もほぼ実時間で経過するので、門外漢が知らない会議を傍聴しているような臨場感がある。
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