みかん

フェイブルマンズのみかんのネタバレレビュー・内容・結末

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

スピルバーグ監督が送る自伝的作品!
いやぁ、すごく素敵な映画で、一気に大好きになった作品でした!

序盤のサミーが列車と車の玩具を衝突させて目をきらきらさせていたシーンから、涙腺ゆるゆるになってしまいました。
そこからなんかずっと涙腺刺激されてしまって、作中何回も泣いてしまった。。。
何だろう、自分でもよくわからない感情が渦巻いて上手く飲み込めていないけど、サミー少年の初期衝動の瞬間に、今映画館でこの作品を見ていることに幸せを感じてしまったのかも。
この小さな少年が、小さな手のひらの中で光に映し出された映像に目を煌めかせているところとか、別に自分自身が重なった訳でもないのに、今この瞬間はまっさらで純粋な”好き”しかないっていう、最初のスタートは映画でも何でも一人の感情から始まるんだなって、その瞬間に立ち会えたような喜びを感じました。
最初から最後まで、めちゃめちゃエモーショナルが詰まった作品でした。

一番好きだったシーンは、高校卒業のパーティでサミーが撮影した”おサボりの日”の映像を披露した際に、いじめっこローガンとぶつかるシーン。
映像の中では美化された自分が偽りに感じて涙するローガンに、映画と現実は違うことを突きつけられたサミー、でもこの瞬間に反りが合わない者同士だけど本音をぶつけ合って、お互い表面的なところから少し踏み込んで自分をさらけ出せた瞬間って感じのシーンで、めっちゃ泣いた。。。
映画を撮ることで繋がれることもあるんだって思えたシーンです。
あと、映画の残酷さも同時に感じてしまった。
お母さんの一番美しい表情をフィルムに納めたところもそうですが、映像は美しいのに真実は残酷だと突きつける。
映像作品作りの良さと残酷さ、その矛盾さも描いているのも印象的でした。

自伝的作品ということでもっとパーソナルな作品かと思っていたけど、そんなことないっていうか、嬉しいとか悲しいとか、怒りとか、シンプルな感情がいっぱい詰まった作品だと思います。
ひとつひとつのシーンも美しいし、人生が映画になるって、ほんとにすごいなぁ。
映画を仕事にするって好きって気持ちだけでは出来ないし、芸術と向きあう孤独や苦悩ももちろんあるだろうけど、それでも映画を撮り続けた監督の説得力がある作品なので、素直に心に入ってくる。
もちろん、ドキュメンタリーではないエンターテイメント作品なので、どこまで真実かわからないですが、映画を見ることが好きでよかったなって思える、最高の贈り物を貰ったような作品でした。
スピルバーグ監督ありがとう!って言いたい!
私とスピルバーグ監督作品との出会いは『ジョーズ』『E.T.』『ジュラシック・パーク』『A.I』あたりで、特に『ジュラシック・パーク』なんて数え切れないくらい見てきた大好きな作品。
子供の頃に出会った作品は今の好きな作品の好みに直結しているし、私にとっては、きっとたくさんの人にとってそうだと思うけど、スピルバーグ監督作品はずっと思い出に残り続ける。
私にとっては映画との出会いって『ジュラシック・パーク』とキャメロン監督の『ターミネーター2』なので、今でもこの2作品は殿堂入り。
本作も、記憶と思い出に残る作品の一つになりました!

キャストについては、ガブリエル・ラベルが本当に良い!!!
(ちょっとクリス・エヴァンスに似てると思った。)
初めて知った俳優さんですが、演技が上手いのはそうなんだけど、全ての感情が彼を通してシンクロできるんですよ!すごいよ!
陳腐な言葉しか並べられないですが、本作にこんなに夢中になれたのは彼の存在も大きいです!
ミシェル・ウィリアムズは『ヴェノム』ぶりでしたが、母親もいくつになっても一人の女で、一人の人間なんだなって思える、美しさと醜さを兼ね備えたキャラクターでした。
ポール・ダノは最近だと『THE BATMAN』のリドラーで凶悪的な演技を見ていたから、こんな優しい表情あふれるパパ役に、同じ人に見えなかったな。すごいや。
しかも優しいだけじゃない、パパのめちゃめちゃ苦しい心情を見事に表現されていてすっごく良かったです。
ボリスおじさんも良かったなー。サミーの心に火を灯してくれたおじさん。素敵すぎる。

ラストも爽やかで希望のある、そしてクスッとしてしまう、とても素敵で最高の締めくくりでした!
勢いでパンフレットとサントラ買ったので、これから浸りたいと思います!

あと、今日は久しぶりに朝一で映画館に行ったのですが、見た回は私とおじいちゃんの2人きりでした。
朝から映画見るおじいちゃん可愛すぎですよね。。。
私もおばあちゃんになっても映画館に行きたいなって思って、なんだかほっこりしました。
みかん

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