【一言で言うと】
「隣の芝生は“甘い”」
[あらすじ]
北マケドニアの首都スコピエにある集合住宅に住む、2組の夫婦の物語。それぞれが人生における幸せを望み日々を生きているが、ある瞬間を境に2組の夫婦は大きな分かれ道を歩むこととなる...。
第35回東京国際映画祭にて鑑賞。
北マケドニアの映画って初めて観るな🤔…と思いつつ何気にコンペティション部門の中でそこそこ気になってた作品なので観てみたら、まぁこれが想像以上に“含み”を帯びた映画で面白かったし個人的にもかなり好きだった!😆
生きる上での“甘い”部分を搾取しまくった人間が陥る末路を、ユーモア満点で描きつつその“笑い”が徐々に“黒い”笑いへと変貌を遂げる、まさにヨーロッパ映画らしい”なんとも言えない“雰囲気を感じましたね😌...
とにかく登場人物全員がいい具合にクレイジー笑。妊娠が嫌だから脳に障害のある少女に代理出産を頼む女性や旦那の不倫相手とイチャイチャする妻など、かなり笑えたりドン引きしたりするキャラが殆どでしたが、特に個人的なお気に入りは女装趣味のある警備員のオッさんが一番好きでした😙
あのダメダメだけど憎めないキャラ、嫌いじゃないんですよね〜...
それから全体的なユーモアと悲劇の塩梅が絶妙ですし、タイトルにもあるカイマックが人間の欲望の権化として意味ありげな立ち位置で存在感を放っているのもまさに見事。
他人を犠牲にして自分だけ甘い人生に寄生した”代償“...まさに『パラサイト』にもあったような”甘くない“メッセージ性を感じましたね🤔
とにかく”人生は甘くない“という教訓に対し抜群の風刺とユーモアで描写した、人生の悲喜交々を独特なセンスで表した一本でした。
カイマックとはトルコやバルカン半島などで親しまれるお菓子の名前で、牛乳の”上澄み“ばかりを集めて作られた食べ物とのこと。
まさにその”上澄み“ばかりを人生に求める人間たちの群像劇となっており、考えさせられる要素もあり、しっかりとエンタメ性もある今作。
監督が過去にベネツィアで金獅子を獲った『ビフォア・ザ・レイン』も観てみたいですし、マケドニア映画に対して一層興味が湧いてきたかもですね...あとカイマックも食べてみたい😋