予告編を見たときから気になっていた映画。
全体的にわけあって夜のシーン、室内シーンが多い分、照明が素晴らしく、おそらくこの時代には夜は真っ暗であっただろう中に灯りがともるときの美しさ。
反して、暗闇の中でしか生きていけない主人公。
鍼灸師としての腕がとてもいいので試験に受かり、宮廷に勤めるようになるものの、宮廷の中は陰謀がうずまいている。
話は二転三転四転五転し、誰がどうなってしまうのか全く先が読めない脚本が素晴らしい。
皇太子である世氏に打ったたった一本の毒針が決め手だったり、王にわざと左手で文字を書かせるためにわざと右手が麻痺するように鍼をうったり、この映画は夜と鍼の映画。
盲人や鍼灸師といった動きの少ない演技が多い中で、無表情ながらも表情豊かに演じたリュ・ヨンジョルの演技も素晴らしいし、老王を演じたベテラン、ユ・ヘジンもシェークスピアのリア王みたいで良かったですね。
中国が明から清に変わった時代の物語、梟の意味がわかった瞬間から映画がまた一転するという、実によくできた映画で賞をたくさんとったのも納得です。