もるがな

M3GAN/ミーガンのもるがなのネタバレレビュー・内容・結末

M3GAN/ミーガン(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

思った以上にミーガンがハイスペックだったな、というのが正直な感想で、当初は単に高性能な小型のターミネーターみたいなものかと思いきや、電化製品のハッキングや音声の模倣にはビビってしまった。それが転じてAIに対する恐怖というか、文明への依存度を皮肉る形になっているのも面白い。

ホラーとしての怖さは年齢制限もあったせいかゴア描写はほとんどなく、その方面を期待したらやや肩透かしな感は否めないものの、ミーガンというホラーの新たなアイコンがこの令和の世に爆誕したというだけでも十分に価値のある映画であり、いい意味で予告編だけでは伝わり切らない面白さがあったように思う。殺人転用可能なスペック説明に、全力で死亡フラグを立てる犬という序盤のコテコテぶりでまず笑ってしまったのと、そうした「最悪の想像」というホラーのお約束を外さないあたりにに愛おしささえ感じてしまう。

クライマックスのブルース起動は意表をつかれたし、最高のサプライズかつ、多少の統合性を外してでもこのB級感が求めてた味だろ!?と堂々とお出しする豪胆さに乾杯!といった感じであり、馬鹿馬鹿しさに振り切ったのには好感が持てる。

人によっては最後のミーガンの罵倒がキャラがブレたように感じるかもだし、あれだけミーガンに依存していた少女が急に壊すことも厭わない冷酷さを見せるのが受け付けないかもしれないが、ミーガン=悪魔と考えれば合点のいく話であり、これはAIという現代技術を媒介に蘇った悪魔の物語なのだ。当初はウエットな話になるかと身構えていたわけだが、悪そのものとして描いた点は個人的には評価するし、データが残って増殖する可能性を残した続編への目配せも、またたまらなく陳腐でいいと思う。ミーガン2は大増殖して欲しいし、味方になったミーガン3とか、シリーズを重ねるほどに恐れずにどんどん陳腐になって欲しい。それもまたホラーの味なのだから、と思う。
もるがな

もるがな