シネマの流星

Sin Clockのシネマの流星のレビュー・感想・評価

Sin Clock(2023年製作の映画)
5.0
令和五年のナンバーワン。最高純度にして最高密度の窪塚洋介が帰ってきた。甦らせた監督の牧賢治は、商業デビュー作にして離れ業をやってのける。

何をやってもうまくいかないタクシー運転手が数十億円の絵画を強奪する一夜のクライム・ムービー。タバコの白煙は掴めない雲のような夢、轟く銃声は声にならない叫び、銃口はペニス。これは男たちの射精を描いた映画。スコセッシとデニーロの『タクシードライバー』に迫っている。

はじめて日本映画がニューシネマとフィルム・ノワールを超えた。

夜の静寂と疾走感、朝の虚無と祝福。これを同時多発的にシンクロ。多くの人生が溶け込んだ夜の闇は、最高密度の透明を持っている。牧賢治と窪塚洋介は、都会の夜の真実を見事に捉えていた。
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