レア・セドゥがとてもナチュラル。
色気を排除し、感情も抑え、シングルマザーのサンドラは、子育てと仕事と父の介護と、ただただ忙しい日々を、淡々とこなすよう生きている。
希望の見えない日々の中で、偶然再会した、旧友のクレマンに恋心を抱く。
サンドラの表情が、突然花が咲いたように輝く。
クレマンには妻子がいる、それでも気持ちを抑えきれないサンドラ。
真面目な(?)私には、自分の幸せのために誰かを不幸にすると思うと、気持ちも萎えるのだか、そこはフランス人の感覚は違うのだろうか。
煮え切らない(よく言えば葛藤する)クレマンにも感情移入が難しい。
父の本を捨てることが出来ないサンドラ。病に侵され、記憶が薄れていく父よりも父を感じられるからだとか。
なんだかとても切ない。
記憶と視力を失っていく父と、先の見えない恋の中で、レア・セドゥは繊細で豊かな感情を見せる。
サンドラと娘とクレマンの3人のショットは、まるで本当の家族のようで、とても幸せそう。
それはハッピーエンドってことかな。