このレビューはネタバレを含みます
IMAX鑑賞
始めに断っておくが、私は怪獣映画と相性が悪い。
それなのにわざわざ観る理由。
怪獣は好きなのだ。
主演経験豊富で、人気と実力と好感度を兼ね備えた神木隆之介。
抜群のルックスと魅力に加え、演技も本格派の浜辺美波。
イケメンの山田裕貴と青木崇高で女性客を誘引。
佐々木蔵之介、吉岡秀隆のクセ強ベテランで脇を固めて、安藤サクラでアクセント。
日本映画では見慣れたキャスティング。
無難にしたがる。
ただ、役者として確かな人しかいない点は評価出来る。
脚本、ストーリー、演出、要は話が面白ければ、傑作になったに違い無い。
まず時代設定。
何で戦後？
現代劇として語り尽くして、ネタが無いのは分かる。
似た様な物を作っても仕方無い、これも分かる。
結果、時代を古くしただけのいつものゴジラ。
得意の時代背景に持ち込みたかったのかもしれないが、3丁目にゴジラは不要。
だって、フォーマットが決まってるんだから、斬新な物は作れない。
フォーマットから大きく外してしまうと、こんなのゴジラじゃないと猛反発を喰らう。
じゃあ何でゴジラなのか。
そこから履き違えている気がする。
序盤、神木隆之介が特攻にビビって島に不時着。もう、ここが分からない。
戦争してた時代が大好きな人達にありがち。
戦争は怖い物と言う共通認識を振りかざす。
戦争知らない世代の方が明らかに多いこの時代に、あの描写は無い。
逃げ出す前に、そりゃそうなるよ、ってシーンが無い。
その思いを最後まで引っ張るから、まぁ感情移入出来ない。
「俺の戦争は終わって無い」
ただの拗らせ。
知らない女と一緒に暮らす割に結婚はしない。
あんな美人で気立ての良い女と一つ屋根の下。
下衆な話、性的な関係には無いと言う事か。
だとしたら、あまりにもファンタジー。
もし、してるんだったら、やるだけやって責任取らないって話。
演技が下手。
に見えるぐらい演出が下手。
手が震える様を呆然と見つめる。
ははっ はははっ ははははっ
ゴジラが至近距離で暴れているのに、横並びで棒立ち。
セリフも酷い。
「今夜は家族とゆっくり過ごせ」
「覚悟を決めろって事ですか」
そんな返し、有り得ない。
いちいち、これはこう言う事ですよ、と不自然に丁寧な説明台詞が度々入る。
小学生以下がターゲットなのだろうか。
ゴジラの背中のゴツゴツ、大き過ぎませんか。何の為に付いてるのか。
カッコいいから、以外に理由があるなら教えて欲しい。
熱線吐く時に背ビレが順番に光る設定がダサい。特に詳しく無いけど、これは共通設定なのだろうか。
前にも見たけど、発射タイミング知らせる攻撃って何の親切？
尻尾から光って行くけど、熱戦のエネルギーは尻尾で作られる設定なのか。
今作では、光と共に背ビレがシャキンっと伸びる。ダサい。
終盤の決戦の時と戦艦を沈める時、それ以外に2回ぐらい吐くんだけど、何故吐くのかサッパリ分からない。
特にピンチでも無いし、急に遠距離攻撃。
銀座で吐いたやつは、何を目標にしたのか分からない。
無駄にエネルギーを消費する生き物は人間ぐらいだ。
脚本書いた人がここで見せ場を入れとこうと思っただけにしか見えない。
急に上陸して暴れて回ったゴジラ。
引き上げる様が描かれないが、縄張りとして認識したから、また見回りに来ると言う。
そもそも縄張りとは、エサを確保する為のもの。ゴジラのエサは放射能。東京にエサは無いのでは。
原発や核兵器を襲うなら分かるが。
ゴジラを沈める作戦がよく分からない。
あんなにストンと落ちるなら、船や潜水艦にも効果ある筈。何故実用化されていないのか。
浮く時は、さらに疑問。
船で引っ張れば良い、と誰かが言ったら、無理だよ 何トンあると思ってんだ、ってセリフがあった。
いやいや、ゴムボートも無理だろ。
しかも深海の圧力に耐えられる設定。
度々、ゴジラが海中でスタンディング。
ゴジラが何メートルか分からないが、水深そんなに浅いんだろうか。
地面に足が着いていないとしたら、どうやって浮いているのだろう。
シンクロナイズドスイミング改め、アーティスティックスイミングの様に、足をグルグルするしかなかろう。是非見たい。
戦闘機に脱出機能が付いているオチは、すぐ気付いた。あれも分かりやすいネタ振り。
戦闘機を整備する人材が冒頭の青木さん。
「彼しか出来ないんです！」
何で？
彼がイジった経験がある。
今まで見た誰よりも優秀。
根拠が何も無い。
「あんたの戦争も終わってないんだろう？」
そんな理由？
女が生きていたのも何となく想定内。
まぁ、突き飛ばした数メートルの差で、全員即死かほぼ無傷、の訳無いよね。
死ぬ瞬間を描かない、もしくは遺体が出て来ないパターンは、大体生きている。
まとめると、今の日本映画の現在地って感じ。
これが現状。これが限界。
