KUJIRA

ザ・クリエイター/創造者のKUJIRAのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

IMAX鑑賞

最近めっきり少なくなったSF超大作。
当たり外れが大きい。ヒットは2、3割か。
幸か不幸か、大好きなジャンル。

早起きして開始直前まで仕事をしていたのに、気になって観てしまった。
冒頭で少し目を閉じていたら、文字で静かに始まっていた。
大事なとこだったかも。

最初のシーンから、ずっとあちらの世界に行っていた。物凄い没入感。
背景や設定が近未来感出し過ぎて無い。
CGに現実世界っぽさも絶妙に織り交ぜている。偽物感が全く無い。

機械達のビジュアルはよく考えられている。
完全に全身機械の量産型タイプと顔が人間っぽいタイプがいるが、その理由は分からなかった。
人間タイプは、顔の造りから表情まで人間と変わらないレベル。
だから、迫害されているシーンを見ると可哀想に思える。主人公と同じ目線でAI側に感情移入出来る。
その一方で、違和感を残す事により機械感も演出出来ている。
後頭部の穴と顔の側面が削れている様な描き方。


間の取り方が上手い。
尺をじっくり使うシーンが多いが、ダラダラ感ゼロ。
追われ襲われの展開が延々続くが、淡白にならず丁寧に描かれている。

シーン一つ一つが絵になる。美しい作品。


人間か機械か。
こう言う話は興味が尽きない。
今作は、かなり分かり易く人間サイドが悪く描かれている。逆に、AI勢力は人間味溢れる描写。もう少し人間サイドに未練が残る様なエピソードを入れて、葛藤に悩まされる展開にしても良かったかも。

話をシンプルにするには、これで良いとも言える。


マヤとアルフィーのキャスティングが完璧。
これで作品の成否が決まると言っても良い。

マヤに見覚えがあり。エターナルで印象に残ったジェンマ チャンだった。
主人公がベタ惚れするのも分かる魅力。

AIが作り出した子供アルフィー。ずっと少年だと思い込んでいたが少女だった。
この子の演技が凄い。
機械の無機質さと子供の無邪気さが同居。

主人公ジョシュアを演じるジョン デビット ワシントン。よく見る役者だ。
別に好きでは無かったが、今作の演技は圧巻。


ストーリーは至って単純。
追われる襲われる逃げる。
その繰り返し。
何処に行ってもすぐ襲撃。
誰と居ても襲撃。
ちょっとマンネリに陥りそうな頃合いに、怒涛の終盤へ突入。

最愛の妻マヤを失い自暴自棄だったジョシュア。
苦難の果てに辿り着いた先に、植物状態のマヤ。
生きる事も死ぬ事も出来ない。
マヤを殺す事を禁じられているAIに代わって、ジョシュアが生命維持装置を切る。

このシーンで、涙腺崩壊。
残酷過ぎる。

AI達は人間と大差無い。
人間の身勝手さ。
ジョシュアがAI側に加勢するのも当然。
そもそもAI側は人間を排除せず共存している。

空飛ぶ要塞をぶっ壊すが、トラブルでアルフィーだけ脱出。
ここの別れも辛い。

要塞と運命を共にするジョシュアだが、最後の最後で、最愛のマヤと再会。
記憶を移植した機械の体とか関係無い。
ここも号泣。

エンドロール。
余韻で嗚咽。

あまりにも悲しく、それでいて優しい。
心洗われる極上の作品。

最高の映画体験。
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