恭介

ゴジラ-1.0の恭介のレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
3.8
いやぁゴジラって

凄いキャラクターですよね

ゴジラの新作を見る度に毎回
そのキャラクターの完成度と
聞き慣れた咆哮に驚嘆する
(あくまでもキャラクター、に)

70年前のキグルミですよ?
あのシンプルで飾り気がなく
それでいて、インパクトがある
造形はもう芸術の域です。
もっともっと評価されてもいいのに。
国立美術館に展示されてもいいはず笑

(バルタン星人とかメトロン星人とか
カネゴンとかジャミラとかも・・笑)

いかにエメリッヒの
GODZILLAの造形が酷かったか笑
ほんとよく東宝がOKだしたなぁ。

メカゴジラの逆襲までは
製作費が少なくキグルミの補修や
改良が出来なくなったのが功を奏して?
色んな表情のゴジラが作品ごとに
登場して、フィギュアの種類が増えたのは
東宝にとっては良かったかもね笑

そんな日本が誇る最強怪獣キャラクター
ゴジラの新作。

興行収入も評価も良かった
シン・ゴジラの後だけに山﨑監督
よく引き受けたなぁー
その心意気は素晴らしい。

VFXを得意とする監督なので
ゴジラが暴れ回るシーンには
かなり期待値高めでいざ鑑賞。

ちょっとネタバレあり!









ゴジラの始まりは「反原水爆」
第1作目が公開された当時の世相を
反映して産まれたキャラクター。

ビキニ環礁での核実験と
第五福竜丸の被爆事件が大きく
作品に影響を与えている。

原水爆の破壊力のメタファーとして
巨大生物という姿で世に現れたゴジラ。

人智を寄せ付けないその恐怖は
核をコントロールしきれない恐怖と
重なる。そんな反核のメッセージが
込められたキャラクターだ。

ま、キングコングと戦った辺りからは
ちょっとかけ離れたキャラクターに
なってしまったけど笑

本作はシン・ゴジラより更に
本来のバックボーンに迫った設定で
反核というより反戦色が濃厚な
メッセージ性を含んだ物語だ。

終戦間際から戦後すぐの時代設定で
これから復興して行こうという時に
ゴジラが現れる。

そんなゴジラに対峙していくのが
特攻隊から逃避し、ゴジラの襲撃からも
仲間を見殺しにして逃避した過去を持つ
青年をはじめ、戦争を生き延びた者、
戦争を体験しなかった者、戦災孤児や
大切な人を亡くした者。

国や官僚、役人が主役だった
シン・ゴジラとは真逆で今回は
民間人がゴジラと戦う設定。

そんな人々の前に「戦禍」の再来の
ごとく、ゴジラは猛威を振るう。
この日中大暴れシーンは中々の
見応えで、さすがVFXに長けた
監督、洋上での戦艦バトルなど
日本怪獣映画では屈指の出来栄えだ。

海上最終決戦というのも
第1作目へのオマージュというか
作戦内容がどこかゴジラを滅した
オキシジェン・デストロイヤーを
彷彿とさせる。

ただ、シン・ゴジラもそうだったが
ラストの「やりっぱなし感」が
どうも拭えない。

シン・ゴジラもラストは結局
ゴジラはどうなったの?
で、本作も、え?死んじゃいねーの?
みたいな。

個人的には本作のゴジラ再生能力は
ちょっと改悪だなぁと思ってしまった。
何をしても倒せない絶望感を
表現する為の設定なのか知らないけど

微かな、儚い希望があるからこそ
絶望感も引き立つんじゃないかと。
何やっても不死身なら絶望感すらない
虚無の境地じゃ物語にならない。

ラストの肉片ウニョウニョ
あれも戦争はいつ何時起きるか
分からない、というメッセージなのかなぁ。

含みを持たせるのは悪い事じゃない
けど、やっぱりスッキリしたい笑

他にも突っ込みドコロはあるけど
ハリウッドに任せてばかりじゃなく
日本が産み出した世界的キャラクター
ゴジラを自国で新たに製作してくれた
事に感謝します。

あと、もしまたゴジラを製作して
頂けるなら一度、メッセージ性を
抜きにしてR指定の阿鼻叫喚ゴジラを
観てみたいかなーなんて笑

もちろん、vsモノで笑
恭介

恭介