恭介

雪山の絆の恭介のレビュー・感想・評価

雪山の絆(2023年製作の映画)
3.8
飛行機墜落事故

極寒の雪山で遭難

捜索の打ち切り

雪崩の直撃

食料なしで72日間


・・・フィクションでも
いや、そりゃやり過ぎでしょ?
ってぐらいの不運のつるべうち

実話ですよ、実話。
もう一度言うけど

実話。

そんな過酷以上の状況から
45名中、16名が生還って。

最初の飛行機墜落事故で全員
亡くなってても不思議じゃない。

物語の詳細や結末は昔から色んな
メディアで取り上げられているし
「生きてこそ」という題名で
映画化された作品を観ていたので
知ってたけど

やっぱり改めて観ると
言葉が出ないと言うか・・

凄いとしか言いようがないし
これを奇跡の一言で済ませるには
ちょっと抵抗がある。

人間の生命力、諦めない強い意志
団結力があればこその生還
だと思いたい。

この飛行機事故はどうしても
生存する為に人肉を食した事が
クローズアップされ、当時はかなり
センセーショナルに騒がれて
バッシングの対象になってしまった
ようだが・・

あの状況下におかれた者でなければ
口をつぐむべきだし、ましてや
批判など誰が出来ようか。

自分が死んだら食べていい

こんなセリフを言う、聞く状況に
おかれる事なんて・・

しかも全く見ず知らずの人ではなく
スポーツを通じて苦楽を共にしてきた
仲間ばかりだ。

そんな究極の選択を突きつけられても
みんなで生きよう、生還しよう
誰一人として失いたくない、という
強い連帯感が16名という生還者に
繋がったと思う。

助けを呼びに出発した2人も
確かな位置も分からず、どれぐらい
歩けば人がいる町に辿り着けられるか
確証がないままの出発だ。

登山装備も防寒装備もなしで
もう自殺行為に等しい。

しかし2人は辿り着く事が出来た。

食べるものもなく体力も限界に近く
雪山という死と隣り合わせな状態で
出発する覚悟と生きようとする
強い信念がもたらした生還。

今回のバヨナ監督版は
「生きてこそ」より更に
極限状態の人々の結束や連帯感
そして、個々の諦めない強い意志を
強調している演出に思えた。

そんな本作は
戦争や内紛が絶えない世界
そして自然災害が多発する
現在に於いて
命や生きる事について
考えさせられる
そんな映画だ。
恭介

恭介