実は公開後すぐに見てはいたんですけど、レビュー書き忘れてました。
カンヌ国際映画祭で脚本賞を獲得した映画です。
是枝監督作品ですが、脚本は坂元裕二さんなので少し今までの是枝作品とはテイストは違うかなといった感じでした。
そして予告編の印象とは少し違った印象を持つ作品。
予告だと、"怪物だ〜れだ？"というキャッチコピーの影響もあり、サスペンス的なものなのか、モンスターペアレントの話なのか、暴力教師の話なのか、サイコパス的な子供の話なのか、なんて想像していたんですけど、違います。
ヒューマンストーリー的な要素が強いです。
あと社会的な問題提起でもあるかな、と。
カンヌ国際映画祭で"クィア・パルム賞"を受賞した作品でもあるので、そういう要素もあるにはありますが、自然に受け入れられるストーリーでした。
子どもの学校で起こった一つの事件。子ども同士の他愛のない喧嘩、そこで起きた教師の暴力行為、それに起因する3つの視点でのストーリーです。
子どもの母親(シングルマザー)、担任教師、そして子ども自身。
それぞれの主観で見るストーリーなので、相手の立場が実際とは違うように見えたり、言葉のニュアンスが変わってきたりします。
はじめの親の視点のストーリーではなんて酷い教師…と思っていたのが教師の視点になると全然印象が変わってきて、そしてさらに子どもの視点になると、同じ出来事が全く別の意味を持つようになったり。
結局、みんなそれぞれ見たいものしか見ていなかったりするんだよなって感じます。
是枝作品はやはり、子役が素晴らしい。今回メインで出ている2人の自然な雰囲気がとても良いです。この年齢だからこその純粋さ、危うさ、色々表現されてました。
もちろん、安藤サクラや永山瑛太の2人の演技も良かったです。そして校長役の田中裕子の怪しげな雰囲気も作品と合っていて、いいですね。
そして肝心の"怪物"。
怪物の正体はなんだったのか？何を指してそう言ったのか？
ラストまで見て、そういうことなのかな、と何となく感じました。
ラストシーンの意味も、どっちでとればいいのかと思ってしまいます。
今まで見ていた"怪物"や"モンスター"といったタイトルの映画やドラマとは全く違う映画です。
