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破局の青のレビュー・感想・評価

破局(1961年製作の映画)
3.9
快活で陽気な音楽とは裏腹に、「破局」の体現が描かれている。ガサツな男がいかにガサツなのかが、テンポよくコミカルに描写される。ラストの展開は笑えないし、結局結末は明かされないのが、かえって恐ろしくて良い。
私自身は、映画の主題は「破局」というより、「破滅」に近い感じを持った。本作で描かれる破局ないし破滅とは、ある主体自身が、何かが壊れていてもそれをそのまま放置したり、直すという営みをせずに闇雲な廃棄を繰り返したりすることで、主体そのものも壊れるか、廃棄されることを指すのだろう。先述の「何か」には、万年筆や人間のような物質的なモノから、恋人との関係性のような抽象的なモノまで色々代入できる。ここで「破局」と表現すると、抽象的なモノの終わりのみが連想される。だが、本作の主人公は、恋人からの手紙を開ける前、すなわち、人間関係という抽象的なモノが終わる以前から、物質的なモノをダメにしていた。
だから、「破局」ではなくて「破滅」かな、と。
青