青

絶好調の青のレビュー・感想・評価

絶好調(1965年製作の映画)
3.8
何だこの映画。
ぐだくだキャンプを楽しんでいたら、鉄条網で囲われたテントばかりの街に連行(というより収容)され、あてがわれた住所は不快な土地で、他人が作った脱出口から鉄条網の外へ脱出する……という、社会批判が込められていそうで製作者の意図は実は何も無さそうなシュールな物語だった。
なぜ主人公がテントの街に収容されなければならないのかはよく分からない。キャンプを上手に遂行できていなかったから、キャンプの矯正や訓練のためか?とか、考えられる理由はある。このテントの街は鉄条網で囲まれており、面会室なるものは鉄条網越しであることから、テントの街は刑務所のような罪人がいる場所として位置づけられている。たぶん、キャンプ(camp)と収容所(camp)が掛けられていて、収容所の中では強制的にキャンプが行われている謎設定が盛り込まれているのだろう。
とすると、主人公は一体なんの罪をやらかしたのか?いや、当然、主人公は罪を犯していない。「収容されて当然」と一方的に見なされただけだ。
おそらく主人公はパイオニア的存在で、最初のテント泊は試行錯誤だったのだろう。その存在を発見され、似たような人が集まるコミュニティに招待されるも、そこには主人公が求めたテント泊はない。テント街の住民は、主人公を道案内することは無く、場所を聞かれても無視している。テントの街の住民のテント泊の楽しみ方や価値は、主人公とはまるで違う。テント泊を楽しむのではなく、生活のためのテント泊になっている。主人公が求めたテント泊から得られる心地良さや自由は、テントの街にはない。
例えるなら、田舎のサッカーっ子が大人の勧めで街のサッカークラブに入ったのだが、当のサッカーっ子が夢見ていたサッカーはそのサッカークラブにはなかったので、もっと大きな世界に行ってしまったような感じかと。

人が泊まる用のテントより車庫用のテントの方が大きいのは笑ってしまう。縦幅のあるテントは腰を傷めずに済むのでおそらく高級なテントなのだろう。そこに上流階級者が住んでいるのも説明として面白い。
青