下津優太監督の作品。Jホラーとして近年では見られない驚きと新鮮味に満ちた構図、カメラワーク、編集など細部まで意識して構築されたアート映画的な作りをしている。A24作品のようだと言われるのも納得。それらが日本における田舎の田園や建築から成る原風景の中で描写されているのが良い。また序盤で主人公の日常から丁寧に描かが後に発覚する事実をより際立てている脚本もまたホラーとしての基本を抑えている。クレイジーな展開もありこの監督からは抜群のセンスを感じるのだが、物語の設定に対して理論的であるとはあまり感じられなかった。中盤からの展開も主人公の動きが作為的にし過ぎなような感じもする。ただ日本におけるこのジャンルでのホープを久しぶりに感じた。ここぞで超実力派の古川琴音がキャスティングできるのもすでに持っている証拠なのではないだろうか。
