ブリッツ・バザウレの作品。想像以上にミュージカルをすることに徹底しているという印象。土地に馴染んだ幾つもの音楽が割と絶え間無くハイクオリティで流れるため、そこそこ楽しく鑑賞できる。約2時間超という上映時間の中で女性が身体的・精神的な自立する姿を丁寧に描いている訳ではないが、その気付きを与えるシスターフッドとしての関係が描写されることは意義のあることだろう。しかし本作は隣人愛に対して希望的観測を見出した娯楽作品のような装いをしているが、果たしてそこまで温くてよいものなのだろうか。スピルバーグが「ウエスト・サイド・ストーリー」をリメイクしたときも現代の価値観に合わせてアップデートしていたようにそれが変わりゆく時代の美徳でもある。アリス・ウォーカーの原作ブロードウェイミュージカル化したものを基にしているとのことだが、映画表現との差分にどうにも苦しいところを感じざるを得ない。
