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わたし達はおとなのhiyoriのレビュー・感想・評価

わたし達はおとな(2022年製作の映画)
3.9
加藤拓也監督の作品。「ほつれる」を観て流石に見逃せないと思い鑑賞。本作で既に同監督の才能が結実していることが一目瞭然で分かる。観察者的視点からカップルのちょっとしたすれ違いが口論になるまでをリアルに描く。リアルというのは簡単だが、作劇していないように見せて綿密に作られた脚本そして演出は見事に設計されている。目を逸らした瞬間、言葉を噤んだ表情、その一つ一つが画面に釘付けにさせる。「ほつれる」の田村健太郎的なモラハラ気味の藤原季節は終始苛ついた(良い意味で)。二人は何故好きでいるのか。見栄のためか安息のためか。親しそうにしている女友達との間にも本音なんかは無いのかもしれない。軽視される女性のリプロダクティブ・ライツから自立を描くノットヒロインムービーズの企画としても鮮烈な印象を残している。今後商業映画を撮る気も無さそうだしアート映画の本流として日本映画を盛り上げてほしい。
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