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夜明けのすべてのhiyoriのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
3.9
三宅唱監督の作品。本作以前から映画作りの才能が日本ではトップレベルであることは既に証明されているが、主演俳優の影響からか開かれたマーケットに対して充分な評判を得て応えている。フィルムでの撮影手法等も含めてかなり前作「ケイコ 目を澄ませて」の延長線上にある作品。本作はモノローグから始まることによりセンシティブな題材を丁寧に扱っている。ボーイ・ミーツ・ガールから始まる映画ではあるが恋愛関係の臨戦態勢とは異なり、互いを理解したいと思う共生の関係によって成立している。実は何処にでも存在するような名前の無い関係を切り取る志に感服した。原作から追加されたプラネタリウムが表すように、人は皆違い方向を向いているようで北極星のような道標を携えて同じ方向に向かっているのかもしれない。前作でもそうだが、三宅監督は半径2mの世界を描く映画のその外側をも想像させる視座の持ち主であると感じる。自分の才能を活かせる環境にいることができなくて無気力にしている松村北斗の役のような人は本当にいる。
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