ゴトウ

シティーハンターのゴトウのレビュー・感想・評価

シティーハンター(2024年製作の映画)
3.0
シティーハンター関連作品、ここ最近は毎年のように何かしらの新作が出てくるような気がする。お約束が多すぎるが故に決して想像の範疇を超えては来ないのだが、よく言えばそれが「安心感」なのかもしれない。面白いけどなぜこんなにこすり倒されているのか不思議なのだけれど、『水戸黄門』『ドクターX』『相棒』とかと同じ、待ってました!が見たい人の期待に応えられるフォーマットだからなのかもしれない。『トップガン』みたいにあの頃は良かった的な、カッコいい「男」像的な需要があるのだろう。その意味では、洗練された映像表現とか、「トー横キッズ」みたいな設定のアレンジは大した問題ではない(公開が令和だから/舞台が令和になっているから入らざるを得なかったくらいの要素でしょう)。“Get Wild”も良い曲だけど、ここまでガチガチに外せない感じにされると逆に不自由じゃないのか?とも思えてくる。普通に面白いけど。

規定済の冴羽獠像を丁寧になぞる鈴木亮平はすごいのだが、設定のアレンジも入らない以上、新しい冴羽獠像が見えるわけでもない。敵も通り一遍の悪っぽい感じだし、陰謀もそう大したものとは思えない。たまたま捕えたトー横キッズがたまたま薬に適合し、その子がたまたまコスプレイヤーだったから、たまたま化粧品メーカーの体をとっていた悪の組織がDMしてみたらたまたま引っかかったというのもえらくご都合的だし、いつものシティーハンターの流れ的に黒幕も見え見え。といって敵がものすごく残酷だったり、ものすごくカリスマ性があったりするわけでもない普通の悪党なのもあり、ガンアクションや殴り合いがすごくても本筋がいまいち燃えないのは否めない。シティーハンター稼業に首を突っ込み始める段階の話なので仕方ないけど、香も足手まとい要素ばかり目立ってあんまり応援したくならない。繰り返しになるけれど『シティーハンター』のいつもの感じは普通に面白い。ただ、今実写化作品としてなにか新しい面白さを感じたかと言われると首を傾げてしまう。衣装や映像表現にお金がかかってそう(=チープさが薄い)という一点だけでそんなに評価するほどのものか?

不快感を喚起しないレベルの「冴羽獠」のラインを新たに設定し直したという意味では意義があるのかもしれないし、実際敵組織の出し惜しみ感からシリーズ化も視野に入ってるのかなとは思いつつ、鈴木亮平を継続的に起用してドラマシリーズみたいに制作を続けるのは現実的ではなさそう。というか、この感じで何本も何本も続きが観たいとは思わなかった。普通に面白いんですけれど。

くるみ役の華村あすか、見たことあるな〜と思ったら『エルピス』のあさみちゃんだった。あと橋爪功の呂律は演技なのか気になった。
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