ゴトウ

マルホランド・ドライブのゴトウのレビュー・感想・評価

マルホランド・ドライブ(2001年製作の映画)
2.9
学がなくてよくわかりませんでした!わからないなりに楽しい部分もなくはないけれど、支離滅裂すぎて集中しきれず。ここのシーケンスがどう、あのショットがどう、みたいな解説や批評もたくさんあるので観たらわかったような気分にはなれるかもしれないけれど、劇場にいたらテキストと睨めっこしながら観るわけにもいかなかっただろうし、ある程度評価が固まっている今だから首をかしげるしかないけど、前知識なしで2,000円払って観に行ってたら「おもしろくなかった」くらい言ってしまっていたかもしれない。わかってないやつと思われたくないけど無理やり褒めるのもなんか違う気がする!わかりませんでした!

映画業界、あるいはショービジネスの世界のいびつさは全体に通底しているように感じた。田舎から出てきた若者が、与えられた役やパブリックイメージを常に演じ続けることですり減っていく。「しょうもない台本」と思いながらも密室のオーディションの中でじいさんとキスしたり、日の目を見ることもないであろう作品を通して次のチャンスをつかむしかなかったり、自分がやりたかった仕事が横からかっさらわれていく焦りが常に付きまとったり、重圧の中でベティが生み出した幻がリタなのかな?と思ったりもした。「自分のことを何もかもわかってくれる理想の存在」というのは幻想で、リタとの交流はまさしく自慰行為でしかなかった。どの部屋に住んでいるかもわからない都市の暮らしと、人知れず死体になって忘れられていく恐怖、老いて忘れられていく恐怖。若さを失って競争に負けていく不安に耐えかねて、自死を選んでしまう……みたいな陳腐な読みしかできませんでした。

「上手くいけば一回、でなければ二回、自分と会うことになる」と語っていたカウボーイ、結局あの後何回出てくるかしらと思って観ていたのだけれど、夢の中/現実みたいな形で描写を区別、解説している記事とか読んでると、紙とノートを用意して一時停止しながら観るくらいしないとダメな気がしてきた。翻弄されるのも含めて心地良い、と思える鑑賞体験ではなかったのでなんとも言えないけれど、今後「観たことある」と言えるという点では観てよかったと思うことにします。『マルホランド・ドライブ』ってタイトルかっこいいし。
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