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80 For Brady : エイティ・フォー・ブレイディのchidorianのレビュー・感想・評価

4.6
アメリカでは今年の2月に劇場公開されていて、日本では未公開だったのかな? この度Netflixで配信されてすぐに観た。
最高だった。笑って泣ける。悪口で使うことがあるらしいけど、良い意味で、これぞポップコーン・ムービー!娯楽映画としては完璧じゃない?
ストーリーにリアルさを求める人や、ファルコンズ・ファンとトム・ブレイディが嫌いな人は観ない方が良いかもしれない。

実話に着想を得て作られた、っていうんだけど、いったいどこまでが実話なんだろう。トム・ブレイディ好きのおばあちゃんが4人いたのは本当らしいけど、果たしてスーパーボウルは観に行ったのだろうか。映画はもう徹頭徹尾荒唐無稽でナンセンスなので。
いかんいかん。そんなのはどうでもよいのだ。この映画でリアルを追求するのは野暮だと言っておきながら。

主演の名優4人が楽しそうで、それだけでもう嬉しくなる。サリー・フィールドだけ70代で、劇中でもそんなセリフがある。みんな元気。
タイトルロールで「プロデューサー:トム・ブレイディ」と出て、へーっと驚く。けっこうガッツリ演技もしていて、引退後はこちらにも進出するのだろうか。
NFLの選手や、アメリカで有名なコメディアンなどが出てくるので、その辺りに詳しい人はより楽しめるだろう。
アメリカンフットボールのルールも知っていた方が楽しめるだろうが、必須ではないような気がする。おばあちゃんと一緒に一喜一憂していれば楽しいはず。

Netflixで配信されている『ナイアド』は60代女性のスポ根ものだったが、こちらはその上を行く70代、80代女性のロードムービーだ。「今時」感がある。
他にも「今時」な気配りは随所にあって、例えば、"Superbowl widow" という言葉は、スーパーボウルの時期は夫が観戦に夢中で妻はほっぽらかしで未亡人のようだ、というような意味だけれど、この映画は、本当の未亡人が、または夫をほっぽらかした妻がスーパーボウルに夢中になるという、逆転した構造になっているのが面白い。
ポリコレ的なことはもちろん、チャリティ○○とか、○○グミとかも「今時」アイテムとして登場する。

どうも悪い分析癖が出てしまうが、そんなことは気にせず頭を空っぽにして楽しめるのがこの映画の良いところだろう。

【2023/11/24追記】
他の人の感想で指摘されていたが、脚本は『ブックスマート』の人だそうで、なるほどそうだったのかと妙に腑に落ちた。
ポリコレが完璧で悪人が出てこない、希望的理想郷映画。私は両作とも大好きです。
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