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動くな、死ね、甦れ!のchidorianのレビュー・感想・評価

動くな、死ね、甦れ!(1989年製作の映画)
4.7
2022年9月17日、国立シネマアーカイブで、PFFの企画として上映されたのを観た。

藤元明緒監督が学生時代に、この作品を観て映画を撮りたいと思うようになった、言わば「人生を変えた映画」だということで企画された上映会で、同じくこの映画に惚れ込み、自身の映画配給会社で配給権を持つまでに至った村田悦子氏とのトークも、上映後に聞くことができ多くの知見を得た。

事前には、「藤元監督の人生を変えた映画」という事以外の予備知識がほぼないまま鑑賞。なんとも言葉にしづらい映画だった。105分で映し出されたもの、伝わってくるものの量が膨大すぎてなかなか咀嚼しきれない。

第二次大戦直後のソビエト連邦、極東の炭鉱町スーチャンが舞台。
ヴィターリー・カネフスキー監督(1935ー)の出身地だから、この映画は監督の経験に基づいたフィクションといえるだろう。

人の表情だったり、泥水や霧だったり、映し出されるひとつひとつが鮮烈だ。過酷な状況が描かれているけれど、辛さや悲しさだけではなくあらゆる感情が詰まっている。

フィクションだと書いたが、そうではないようなところもあるし、確かに映画ではあるけれど、なんだこれは!凄え!というのが今の印象。また観たい。
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