観終えた直後は大したことのない映画だなと思ったのだけれど（失礼！）、後からじわじわと来るものがあったので結果的にこの高評価になった。単純と言えば単純な話だ。気球で空を飛び続けたいと夢を見る男、そんなことより自分を見て欲しい女、気球クラブに成り行きで入ったモラトリアム真っ只中の男、そして若者たち……青臭いと言えば青臭い。こんなスジの話も園子温監督は撮ってしまうのだな、という驚きを禁じ得なかった。高評価に繋がったのは永作博美氏の美しさがあるからで、彼氏に対する揺れ動く気持ちを巧みに演じているからではないかと思う。彼女が居なければこの映画は成り立たなかったと言っても過言ではないのではないか。ビターテイストなラヴ・ストーリーおよび群像劇として成功していると思う。
