たけちゃん

風の谷のナウシカのたけちゃんのレビュー・感想・評価

風の谷のナウシカ(1984年製作の映画)
5.0
その者青き衣をまといて金色の野に降り立つべし


宮崎駿監督、原作、脚本 1984年製作
製作:高畑勲、音楽:久石譲
声優:島本須美


勝手にお知らせシリーズ「今日は何の日」
今日は3月11日ですね。
あれから、8年。
月日の経つのは早いものですが、風化させてはいけないこともありますから、今年も語ります。
また、昨年「胆振東部地震」でブラックアウトも体験した身なので、より強くその思いを感じます。

「天災は忘れた頃にやってくる」
これは物理学者の寺田寅彦先生の言葉として知られています。「関東大震災」の発生を研究し、自然災害は必ずやって来るものであるのに、人の心が移ろい易く忘れやすい。だからこそ、過去の記録を忘れないように努力するよりほかにはない、と説きました。
この言葉自身は、寺田の弟子である中谷宇吉郎(雪の結晶の研究で有名)が拡散したものだそうですが、防災意識の核心をついていますよね。
だから、今日は語らなくちゃダメなんです。






さて、話題を映画に変えましょう!
そんな本日、映画好きとしては忘れてはいけない、もう1つ、大きな出来事があるんですよ。
今から遡ること35年。
1984年3月11日に、ある映画が公開されました。
今では誰もが知っている作品なのに、当時はそれほど大きな話題にはなりませんでした。
それが「風の谷のナウシカ」です。
まだ、スタジオジブリは立ち上がっていません。

僕は当時、大学生でした。
1984年って、特別な気がするよね。
もちろん、それはジョージ・オーウェルの「1984」があるからだとも思う。核戦争後の管理社会を予見したこの小説には、随分刺激を受けたものです。

現実のこの年は、ロス五輪が開催され、レーガンが再選し、大統領二期目になりました。
映画では、ジャッキーの「プロジェクトA」や「ストリート・オブ・ファイヤー」にテンションを上げ、音楽ではヴァン・ヘイレンの「1984」やプリンス殿下の「パープル・レイン」が発表されました!マイケルの「スリラー」はまだヒット中。
アニメでは「うる星やつら ビューティフル・ドリーマー」が公開され、僕は押井守監督にハマっていました。

そして、「風の谷のナウシカ」も公開……。
しかし、残念ながら、その時、僕は劇場では観てません。全然知らなかった……。
翌年、テレビで放送されて火がつきました(‐ω‐;)

でも、僕は「アニメージュ」に連載されていた原作を読んでたんですよね。まぁ、目的は別の作品だったんですが……(笑)
ちょっと絵が暗くて、最初はあまり受け付けなかったんだけど、その世界観に次第に引き込まれていきました。本当にハマったのは映画が作られてからあと、単行本をまとめて読んでからかなぁ……。
映画版のナウシカよりも、この原作ファンなのですが、それでも映画も大好きよね。ファンタジーの人なので……(ˆωˆ )フフフ…
だけど、僕はナウシカをスクリーンで観たことがないんですよ。それが本当に残念で。


先日、「AKIRA」のレビューでも書きましたが、この「風の谷のナウシカ」も原作連載の途中で映画化に進み、ラストが映画とは違います。宮崎駿監督自身は、このナウシカのラストが予定調和的であり、あまり納得していなかったよう。たしかに、原作とは大きな違いがあるよね。
でも、これはこれで、僕は好き( ˘ ˘ )ウンウン
観る度、泣いちゃうから(笑)



映画のストーリーはあまりにも有名なので、新たに書きませんが、原作については少し触れたいと思います。
僕の持っている単行本、日付を見ると昭和62年でした。やっぱり刊行からちょっと遅れている。だから、もう31刷。黄ばんじゃってねぇ……(笑)
でも、5巻目からは初版本よ(*´﹀`*)フフッ♪


原作のナウシカは映画よりも少し大人っぽい。
体つきも女性的で、しかも強い。
当然ながら、映画よりも世界観が広げられているので、少し難しく感じるかもね。
映画は風の谷とペジテ、そしてトルメキア軍くらいしか出てこないけど、原作はもっと壮大なので。

特に、バッサリカットしたのが、クシャナの家族関係。
トルメキアの第4皇女であるクシャナは、兄弟達との政争問題も抱えていて、内憂外患の状態なの。風の谷はその同盟国的な位置づけ。なので、トルメキアは、イメージ的にはアメリカを中心とする西側諸国ね。

外敵としては、土鬼(ドルク)と呼ばれる宗教国家と対立している。この土鬼軍が強力で、しかも不思議な力も使えるので、厄介(‐ω‐;)
粛清粛清で国家を恐怖で維持する姿は、どこぞの隣国と似てるよね。宗教国家ではないけど、こちらはソ連を中心とする共産主義国家のイメージか。それとも、政教一致な姿はイスラム国家かな?

その2大国の間で、風の谷のような小国が生き残るためにどうすべきかと奮闘すると同時に、腐海や蟲たちがどうして存在するのかの謎を解いていくストーリー。また、映画には出ない「森の人」と呼ばれる者たちが出たりと、かなり複雑です。

そして、映画との1番の違いが、巨神兵の存在でしょうか。映画のように腐った状態で生まれ、死んでいく物ではなく、ナウシカを母として慕い、名をもらい、心を通じさせていく知能ある者として描かれるのです。


トルメキア、土鬼、そして巨神兵。
これらの間で、ナウシカはどのような存在として描かれるのか。興味がありましたら手に取ってみてください。全7巻です( •̀ω•́ )و✧



追記
2020年6月26日、リバイバル上映で劇場鑑賞。
ついに念願が叶いました\(^o^)/
本当に素晴らしかったなぁ。
毎回泣いちゃうラストばかりでなく、ペジテのラステルのお母さんとの邂逅シーンでも泣いちゃったわ(◦ˉ ˘ ˉ◦)
劇場ってサイコーです( •̀ω•́ )و✧