自分の罪を思い出せ……
サム・メンデス監督 2012年製作
主演ダニエル・クレイグ
シリーズ「週一007」……2週間空いちゃった…
クレイグボンドシリーズ第3弾です!
シリーズ製作50周年記念作品
作品評価は過去最高のようですね。
興行収入も歴代1位
アカデミー賞も音響編集賞と歌曲賞で受賞、これはなんと47年ぶりのこと。凄いです!
さて、映画です。
クレイグボンドでは1番評価が高いですよね。
フィルマのスコア平均も「カジノ・ロワイヤル」と並んで3.9ですか!
僕の印象では、昔からの007ファンではない人の方が高評価。だから、新しいファンを獲得するという意味で大成功の作品だよね( ˘ ˘ )ウンウン
ただ、僕の中では、これは「007シリーズ」ではないなぁ……と思っていました。ボンドの文脈では絶対に異色作なんです。暗いし、笑いないし……😩
先に書くと、次作の「スペクター」がクレイグボンドでは一番好きなんだけど、実はどちらも監督はサム・メンデスなんだよね。だから、「スカイフォール」と「スペクター」は表裏の作品だと捉えると、裏がこちら「スカイフォール」です。007シリーズのシリアスな部分ばかりを取り上げた感じ。なので、僕は映画としてはすごく素晴らしい作品だと思うんだけど、007シリーズだと言われると評価が下がっちゃうの😅
それでも、素晴らしい映画だと言うのに異論はないので、この後はそのあたりを書きましょう!
以下、ネタバレがふくまれます。
タイトルは「スカイフォール」
これはジェームズ・ボンドの生家のことです。
そのタイトルに絡め、この映画は色々な"落ちる"が散りばめてありますよね。ここがまず良い。
おなじみ、冒頭の追跡シークエンス
MI6のエージェント情報が入ったハードディスクが敵の手に"落ちる"
これでエージェントの命が危機にさらされる
その追跡で、敵との格闘中にボンドが味方のイブに撃たれて、橋から"落ちる"
生死不明で、ボンドは一旦任務から離れます。
現場では死亡とされ、追悼文まで書かれました。
これによりMI6の権威も"失墜"
Mはマロリーに引退を勧告され、さらにはMI6本部が攻撃され、守りの要の基地が爆破、文字通りに崩れ"落ちる"
本部メンバーが何人も命を"落とし"ました。
MI6の危機に復帰を決意するボンド
しかし、現場は若者の世界……
老いた007への信用も"落ちる"
彼を信じたのはMのみ……
ってことで、前半でボンドはこのような状況に"落ちて"いるわけです。チームは完全に後手に回っている。ここから如何にして這い上がるのか?落ちるとこまで落ちたら、あとは登るだけですからね( ˘ ˘ )ウンウン
ここに投入されるのが、新しい人材。
チームの若返りをはかります!
そう、世代交代です。
まずは、冒頭でボンドを誤射したエージェント、イブがまさかのマネーペニーとは!
演じたのはナオミ・ハリス
黒人のマネーペニーにも驚きましたが、ボンドとの関係にも驚いたよね。
ついに登場するQ。
僕らはQと言えば、好々爺のデズモンド・リュウェリンなわけで、年寄りのイメージ。それを若手のベン・ウィショーが演じるとは!
このベン・ウィショーのQはオタク感全開で、コミュ障っぽく、いかにも科学部門って感じになりましたよね。
そして、レイフ・ファインズ演じるギャレス・マロリーの登場。元SASの陸軍中佐で、現在は政治家という経歴。彼が後任のMとなるわけです。
7作続いたジュディ・デンチのMが世代交代。
男性のトップに戻るんだなぁ…と思ったけど。
こうして「カジノ・ロワイヤル」から少しずつ進められてきた007刷新計画がこれで完結。新たなボンドが生まれ、007チームが一新されました!
他のポイントは?
前作「慰めの報酬」のレビューでヴィランが弱い!と書きましたが、今作のヴィランは良かったですよね。シルヴァを演じたのはハビエル・バルデム。彼は素晴らしかった。特に、捕らわれてMI6でMと会う場面は凄かった。彼もジェームズ・ボンド同様、過去の遺物だったわけですが、でも、何がジェームズとシルヴァを分けたんでしょうね……。
あと、ボンドガールの扱いも異色。
今までの流れで言うなら、マカオで出会うセブリンがボンドガールということなんでしょうが、彼女とはあまりにも浅い付き合い。まぁ、一夜限りの逢瀬はボンドっぽいけど、そうなる動機づけが薄いんです。ここは惜しい😓
そして、イブとして登場するナオミ・ハリスは、一緒に戦うけど前作のカミーユとは立ち位置が違うし、ボンドガールと呼ぶのはちょっと違うよね。
では、ボンドガール不在か?と言うと然にあらず
今作で一番ボンドガールっぽい扱いなのは、なんとMなんですよね。シルヴァが命を狙う相手であり、ボンドが護る人間でもあるM。Mとは"MOTHER"のMだったのか?でも、彼女こそが「スカイフォール」のキーでした( ˘ ˘ )ウンウン
それにしても、今作は撮影が見事でしたね~。
スクリーン映えする見事な映像
撮影監督は名匠ロジャー・ディーキンス
何度もアカデミー賞にノミネートされ、「ブレードランナー2049」と「1917 命をかけた伝令」で、ついに撮影賞を受賞しました🏅
今作もその手腕が遺憾なく発揮されてきました。
あとはアカデミー賞歌曲賞も取る主題歌「スカイフォール」。これを歌うのはアデルです。
説明がいらないイギリスの歌姫。
1988年生まれで、現在33歳。
2008年にアルバム「19」でデビュー。グラミーで最優秀新人賞と最優秀女性歌手賞を受賞。
2年後に「21」を発表し、次々と記録を塗り替えました。その直後に発表されたのが、この「スカイフォール」なんです。ノリに乗っていましたね。
結婚、出産を経て、2015年にアルバム「25」を出しましたが、現在は離婚してしまいました。
悲しみを乗り越えて、新しいアルバムが出るのを心待ちにしています。素晴らしい歌声がまた聴きたいものです。
ということで、スタッフ、キャスト、音楽と全て素晴らしいのですが、僕にはちょっと生真面目すぎる印象でした。ってことで、僕的クレイグボンドの最高傑作は、次作「スペクター」となります。
明日は「ノー・タイム・トゥ・ダイ」も観てきますが、「スペクター」を超えるか、楽しみです(≧∇≦)ゞ