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紳士は金髪がお好きのtjZeroのレビュー・感想・評価

紳士は金髪がお好き(1953年製作の映画)
3.8
ハワード・ホークス監督といえば、『赤い河』や『リオ・ブラボー』といった西部劇や『三つ数えろ』のようなミステリーの印象が強く、男性的なタッチが持ち味かと思われるが、本作のようなお色気コメディも達者にこなす職人でもある。
そもそも、『赤ちゃん教育』とか『ヒズ・ガール・フライデー』といったスクリューボール・コメディの快作も撮っている位だから、人物のさばき方とか生き生きとしたセリフのやりとりとかの描写が巧み。常にゼンマイがキッチリ巻かれた玩具のような、弾みまくる楽しさ。
あと、この監督らしいのは、ふたりのヒロイン(ジェーン・ラッセル&マリリン・モンロー)のさっぱりとした友情と相性の良さ。西部劇の諸作でのガンマンや『コンドル』のパイロットのように、ホークス作では登場人物たちのプロフェッショナルぶりが魅力。
本作の美女ふたりも、異国のパリですっからかんになっても、メソメソとかウジウジせず、舞台での職をすぐに得て輝くようなステージングを披露する。
その自立した”職業人”のキリッとした、ハードボイルドといってもいい存在感がいかにもこの監督らしくて嬉しくなってしまう。
お色気とハードボイルドという、対照的なエッセンスが無理なく共存している楽しい作品。
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