Ayu

マエストロ:その音楽と愛とのAyuのレビュー・感想・評価

3.0
「TAR/ター」の劇中で君はバーンスタインにも師事していたよね〜みたいな台詞があって、そう言えばこの作品をブラッドリー・クーパーが撮っているんだよなと心待ちにしていた一作。Netflixでの公開を待てず、少しでも良い音響で見たくて映画館にて鑑賞。

ブラッドリー・クーパーのバーンスタインより断然キャリー・マリガンのフェリシアの演技が良い。キャリーを輝かせる監督としての手腕はすごいけど、ストーリー展開の主軸が終始ブレているように見えてしまい、終盤では着地点の曖昧さに若干の眠気が…。マーラーの復活を大聖堂にて指揮するシーンはとても良かったが、正直なところ映画としては微妙。

バーンスタインの楽曲を中心とした劇伴の使い方もあまり適切とは言えなかったように感じるし、フェリシアの揺れ動く感情は伝わってくるがレナード自身の心境の描写が薄すぎて、音楽の方向性にしても自らの性的指向にしても何を目指して何に苦悩しているのかを伝えるパンチが弱い、題材は良いのに惜しい。たぶんキャリーは演技賞をたくさん獲れるだろうけど、Not for meな作品でした。
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