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コット、はじまりの夏のericaのレビュー・感想・評価

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)
4.0
"沈黙は悪くない。"

なんて繊細で優しい作品なんだ。。
台詞は然程多くなく、登場人物の表情やふとした仕草から感情を読み取る場面が多いのだけど、光や緑のカットがちょいちょい挟まれるのでこちらが考察する余裕があって大変心地良い。

なぜか昔からアイルランドへの憧れがあって、アイルランドが舞台の映画は全部観たくなる。
本作の鑑賞理由もそれ🇮🇪

主人公の少女コットは口数少なく、いつも萎縮しているように見える。
家庭環境は決して良いとは言えない…ネグレクト気味で利己的な父親と、疲れ切ったように見える母親、冷たく接する姉妹たち……家でも学校でもコットは孤独で疎外感を感じている。
そんな中、とある夏の期間だけ親戚の叔父さん叔母さんの家に預けられることとなり、最初は戸惑いながらも徐々に自分の居場所を見つけていくというお話。

好きなシーンがたくさんあった。
アイリンがコットの髪を梳かすシーン。
コットが家事を手伝うシーン。
ショーンがビスケットを無言でテーブルに置くシーン。
コットが郵便受けまで走っていくシーン。
中でも、ショーンとコットが夜の海辺で話すシーンが最高に良かった。沈黙は悪いことじゃないんだ。。

ラストは自然と涙が流れた。
これからコットはどんな人生を送るのだろう。
良い映画でした。
帰りは劇中出てきた"Grace"を聴いて帰った。
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