円柱野郎

アイルトンセナ 〜音速の彼方への円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

事実は小説よりも奇なり、ではないが、ちょっとしたドラマよりもよっぽどドラマチックな構成の作品でした。
セナ自身が駆け抜けた短い生涯の中で掴んだ栄光。
その一方でプロストとの確執やFIA会長バレストルの政治的圧力への孤独な戦いといった部分での人間ドラマが強調され、作品構成としては孤独なヒーローといった趣ですごく引き込まれる。
悪役にされたプロストには気の毒だけど、実に上手い構成だ。
ドキュメント作品としての客観性よりも、セナの思い出に捧げられたフィルムとして記録に残る作品だと思う。

使われる映像は世界各地のF1中継映像やサーキット外のインタビューなど。
マンセル、プロスト、ピケなどの当時のトップドライバー達の映像も懐かしいが、個人的には若いロン・デニスやチラッと映るバリチェロとのツーショットも印象的。
それにしてもチャンピオン争いの天王山がことごとく日本GPなのが日本人としては感慨深い。
フジの映像も結構使われていたけど、セナの訃報に際してイモラから実況の三宅アナと解説の今宮氏、ピットリポートの川井氏が、声を詰まらせながら視聴者にその事実を伝えた映像がそのままこの映画に使われたのは驚いた。
でも悲しみに暮れるその三人の姿は、その時の世界中のファンの気持ちを代弁しているように思う。
円柱野郎

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