コンテナ店子

マリウポリの20日間/実録 マリウポリの20日間のコンテナ店子のレビュー・感想・評価

3.5
 前にも似たようなタイトルの映画を見た気がします。そっちよりはこっちの方が個人的には好きでした。撮影に関してはあちらの方が優れていたように感じましたが、あの映画はそれが優れすぎていて現実のこんな状況で撮っている感があまりなかったです。

 本作はドキュメンタリー映画としてもかなり独特で、ファウンドフッテージのように撮影を行っている人自身が主人公で、彼が視聴者に向けて話しながら映画が進みます。
 個人的にはメッセージ性が押しつけがましくなってしまうのかなと感じていたのですが、急を要する事態で正常な判断が出来ていないのを表現したりと、生々しさを強く感じることが出来ました。

 この映画は人が傷ついていたり死んでいく様子、死んだ後の姿を映していて、「娘は戦場で生まれた」ストーリー性のような物はないですが、人の命が軽く扱われている様子はしっかりと見ることが出来て、そこは衝撃的で素晴らしかったです。
 特に土地を舞台にしたドキュメンタリー映画では、主要な人物以外は1度出てきたら終わりなことが多いですが、本作はそうではなく、数人の人を繰り返し出すことで、その人たちが受ける被害をより重くしていたように感じます。
 それ以外にも、戦争で攻撃しているロシアの悪行だけでなく、街の中の人たちが混乱して暴れている様子も映していて、そこも生々しくてよかったです。

 戦争の悲惨さを映すというよりは、戦争の現場の様子をただ捉えていて、可愛そうですよというのを意外にもそこまで押し付けられなかったように感じます。映画中盤以降は主人公が話の中心になっていたからだと思います。
 インタビューはそこまでないですが、結構淡々とした作品なのでドキュメンタリー慣れしてない人はたぶん退屈に感じると思いますが、慣れてる人は結構気に入る作品だと思います。
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