いきなりですが、私はガイ・リッチー監督がけっこう嫌いです。「アラジン」はよかったですが、他に見たことがある「ジェントルマン」はキャラクター多すぎだし、「キャッシュトラック」は時系列が行ったり来たりするせいで、どちらもかなりごちゃごちゃしていました。
なので、正直彼が監督していることを知っていればたぶんこの映画を見ることはなかったです。でも、知らなかったので見てしまいました。率直な感想を言うと、思ったよりは全然良かったです。
映画の冒頭はかなりキャラクターが多くてすごく彼らしいなと思ってがっかりしたのですが、中盤辺りから話の焦点が2人に集約されて行って、そっから先はかなり映画が持ち上がりました。時系列も1本道だったし、すごくわかりやすかったです。
ずっと主人公の2人に話の焦点が定まっていましたし、その2人の間の行き来ですらもほとんどなくて、今はこっちの人で、ここからはこっちの人って感じでちゃんとくっきりと分かれていました。おかげでかなりスッキリ見ることが出来ました。
ただそのシンプルさがこの映画の欠点というべきなのかもしれないです。正直脚本についてはそんなに言うことがないです。アクションシーンもけっこう多いですが、そんなに特別な物には感じなかったですし、直面する苦難も最初の方はけっこう注目しましたが、後半になってくるにつれてその苦しさを見せないせいで、あんまりそれが伝わってこなくてそんなに掻き立てられなかったです。
とはいえそれでも見てられたのは、やっぱりジェイク・ギレンホールの演技がいいからです。そんなに数は見たことないのですが、彼はいつも演技がいいです。本作でも怒りの表現が素晴らしかったです。発狂するように怒る時もあれば静かに怒る時もあり、そのバリエーションの多さに目を見張りました。
ノクターナル・アニマルズとかスパイダーマンとか彼は頭脳役みたいな役が似合うのかなと思っていましたが、こういう生真面目な軍人キャラみたいなのも出来るということに驚きました。
正直ガイ・リッチー監督にしては久しぶりにいい映画だった以外は割と印象が薄いのでたぶんすぐに忘れてしまいそうですが、見てる間はけっこう楽しめた作品でした。そんな人にわざわざ勧めるほどではないですが、見たい人は全然見ていい作品だと思います。