アカデミー賞にノミネートしていたので存在は認知していましたが、設定があまり興味を惹かれなかったので、そんなに期待はしていなかったのですが、想像以上によく出来ていました。
何よりも演技が素晴らしかったです。ちょいちょいキャラクターが見つめ合ってるだけみたいなシーンがこの映画にはあるのですが、そこが本当にすごいです。色んな感情が交じり合っていることをキャラクターの表情だけで感じることが出来、映画の尺が短い都合上脚本がかなり駆け足なのですが、それでもお互いが好き合っているのがかなり伝わってきました。
映画の中盤くらいでキャラクターがスカイプで通話しているというシーンがあるのですが、そこもすごくよかったです。主演2人の演技によって、雑談をしているだけにも関わらず、すごく楽しそうなのが伝わってきました。その上、その伝え方もかなり自然で、ほんとにこの2人が会話しているようにしか見えなかったです。
この映画のキャラクターの仕草はかなりリアルで、現実にいそうな感じがすごかったです。絶世の美男美女が織りなす超大作物語ではなく、地に足着いた普通の人の話らしさをかなり感じました。
それに伴い、キャラクターのヴィジュアルもよかったです。おそらく今まで見た映画の中でも最もキャラクターの年の取り方がリアルな映画の1つでした。
映画によっては「数年後…」みたいに字幕で言われてもキャラクターの見た目が全然変わってないことが多いですが、この映画は違います。ちゃんとキャラクターの肌の質感が変わり、年を取ったのに合わせて老けています。映画のマーケティング的には美男美女の方が売れると思いますが、個人的にはこのリアリティが最高でした。
ただ、この映画は尺が全部で100分くらいしかないのもあって、演技とメイク以外ではあんまり褒めるところがないです。脚本もかなりスカスカです。演技が素晴らしいので好き合っているのは伝わりますが、それをもし抜きにしたら、なんでこの2人が好き合っているのか全く分からないです。
音楽もあんまりよくなくて、感情をかなり無理やり捻り出そうとしていて、シーンに合ってないなと感じることが多かったです。基本会話劇なので、個人的には音楽なしでやってもいいのかなとは思いました。
個人的には素晴らしい演技を見れて大満足ですが、映画オタク以外がこの映画を見たらたぶん駄作だと思う気がします。なので、多くの人には合わないですが、いい演技を見たい人にとってはかなりおすすめな作品です。
