きねぼっち

夜明けのすべてのきねぼっちのネタバレレビュー・内容・結末

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

これは素晴らしい映画!
ドラマチックなストーリーじゃないにもかかわらず面白い!!

キャラがみんなきちんと設定されており、ストーリー展開させるテクが超巧妙な上に、ストーリーも現代社会に絶妙に目配りされていて、納得感がすごい!
テンプレ的な部分が皆無なのは本当にすごい!

どのキャラもちゃんと来歴が設定されてそうだし、途中、主人公の上司が、主人公が現在の仕事に没入、イキイキしてるのを見て思わず感涙してるシーン、ものすごい説得力あって驚愕。

序盤のモノローグは長いかなとも思ったけど、女性主人公が病気のせいでいかに社会でやっていけないか、みたいなのが具体的に描写されて効果的だったし、その際に誤解を招かないためにちゃんとした説明を入れるべきだという判断だと勝手に感得。

男性主人公の、職場でのやる気のなさ、オレはこんなところにいるべき人間じゃねーんだよ! 的な不満もセリフで言わせるんじゃなく周囲との会話で察せられるようにしているのも良かった。
あと、カノジョがいるにもかかわらず、あまり会ってるようすがないのは、男性主人公は現状、イムポテムツになっている可能性すらうかがわせる。女性主人公とも発展しなかったのも然り。
そういう状況下で男女の友情が~って言ってても、そういう自分を肯定しようとするいいわけなのかな、とも思える。

なんかくっつきそうで結局友達のままで終わる二人だが、これまた当世風でよかった。
これで男女の仲になったら、テンプレ展開になってしまうし、生きづらい人が回復しながら自分に合ったところへ収まってゆくという過程に、男女の情愛が必要、という主張にもなりかねないので、カップル成立しないのは英断だと勝手に激賞。
個人的にはちょっと肩透かしだったけど、それこそ思い込みなんでしょうね。
まあ、病気は治ったわけではないし、回復の途中だというのもあるのかな。

あと、描写は決してシリアスぶらない、むしろほのかなユーモラスさがあってナイスだった。
映像も、あまりパキッとせず、ちょっとモヤッとしてて、懐かしさ、暖かさなどを醸し出していたと思う!

それから、徐々に主人公たちの活動が移動プラネタリウムの立ち上げに収斂してゆくにつれて、たびたび映る夜景の印象が、星空と重なってゆくような気がして勝手に感心!
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