収入面では充分余裕を感じさせる夫婦。そんな田村健太郎さんの自分を棚に上げた静かなモラハラも実在感があって良かったのだけれど、やはり門脇麦さんの演技の巧みさが印象深いです。
私たちは普通、思っていることを全部ぶつけたりしません。不倫の逢瀬にあっても修羅場であっても、頭に浮かんでいる言葉の多くは飲み込んでいるはずです。その分発語されない言葉の分の間の作り方と、（特に死んだ）表情がずば抜けて得意なひとだと思います。沈黙と視線と心ここに無い仕草。台本にない台詞をひとり頭の中で叫んでいる感じが今回もすごいです。
ロマンスカーに乗って不倫、山梨まで車移動。首都圏内であっても、現実に即した移動手段と距離感がちゃんと描写されている映画には好感を抱きます。
