ケイスケ

AIR/エアのケイスケのレビュー・感想・評価

AIR/エア(2023年製作の映画)
4.2
お仕事映画大好き😘やはりベン・アフレックの監督作は面白いし、個人的には最高傑作に感じました。あ、でも『ゴーン・ベイビー・ゴーン』も好きなんだよな。

1984年。経営難に陥ったナイキでソニー・ヴァッカロはCEOのフィル・ナイトにバスケットボール部門の立て直しを命じられる。マイケル・ジョーダンというまだNBAデビュー前の新人選手に目を付けたソニーは、周りに反対されながらも彼に社運を賭けた依頼をする。

本作は誰もが知っているマイケル・ジョーダンのエア・ジョーダンの開発秘話。劇中ではマイケルの顔を映さないので、あくまでナイキのエア・ジョーダン開発と交渉にスポットを当てた作品です。と思いきや後半でマット・デイモン演じるソニーが現実のマイケルと絡めたメタ的なメッセージがあり、ここがめちゃくちゃグッときた。こことエンドロールで実際のマイケルを映すのが上手いよなあ。

今では信じられないですが当時は大手シューズメーカーのバスケ部門のシェアがナイキはわずか17%という驚き。いかに今、マイケルとエア・ジョーダンの功績がとんでもない偉業か実感できる。あとバッシュの色がNBA協会で「白の比率は51%まで、それを超えると毎試合5000ドル罰金」というのも初めて知った。しかしナイキの決断は罰金を払ってでも色を増やすというもの。すげえな大企業。

ソニーの交渉術やCEOの家族の売上分配の決断もすごいんですけど一番の功労者はデザインしたピーター・ムーアですよね。ロゴのジャンプマンを採用したのも彼ですし。自分もスニーカーや服が好きなのでエア・ジョーダンは見慣れてましたが、マイケルが初めてジョーダン1を手にした時に神々しささえ感じられたました。ちなみに最後の字幕に出ますが、ピーターは映画完成1ヶ月前に亡くなったそうです。ご冥福をお祈りします。

お仕事映画としてもスター映画としても非常にクオリティが高く、ナイキやジョーダンに興味が無い人でも楽しめると思います。ベン・アフレックは『アルゴ』でもありましたがスリリングな展開の引っ張りが非常に上手いですよね。かなりの良作でした!あ、あと忘れちゃいけない。ソニーとエージェントの電話の口喧嘩がめっちゃ面白かったよね。「このヘルペス野郎!」とか笑。