ケイスケ

アイダよ、何処へ?のケイスケのレビュー・感想・評価

アイダよ、何処へ?(2020年製作の映画)
3.8
パレスチナ問題やウクライナ侵攻が行われてるからこそ、いま観るべき作品。

1995年、ボスニア・ヘルツェゴビナの端にある町、スレブレニツァが武装したセルビア人勢力によって占拠され、2万5000人に及ぶ町の住人たちが保護を求めて国連基地に大挙して押し寄せてきた。一方、国連平和維持軍で通訳として従事するアイダは、交渉の中である重要な情報を得る。セルビア武装勢力の動きがエスカレートし、無抵抗なままに基地までも占拠されようとするなか、アイダは家族を守ろうと必死に動くが…。

ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の最中に起きたスレブレニツァの虐殺が題材となっている本作。自分は基本無知なので調べるまで虐殺の実態はわからなかった。しかし映画を通して歴史を学べるのはとてもよい経験。実話を背景にしているので語弊があるかもしれませんが面白かった。

アイダという人物は架空のようですが、おそらく国連内で似たような境遇の人はいたんじゃないかな。国連の通訳という大事な役割を与えられてるんだから、家族の件とかちょっとくらい優遇してくれてもええやんけ!と思わずにはいられない。家族から引き離されたアイダの叫びが忘れられない。

今は日本というジェノサイドとは無縁な地にいますが、いつ自分が虐殺する側になるか、される側になるか誰にもわからないし保証もない。同じ立場になったときに自分ならどう立ち回ればいいか観た人同士で話し合うのもいいと思う。多くの人が鑑賞するべき作品。素晴らしかったです。