むさじー

星くずの片隅でのむさじーのネタバレレビュー・内容・結末

星くずの片隅で(2022年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

<コロナ禍の混乱で生まれた思いやる心>

2020年のコロナ禍の香港。清掃業を営むザクのもとに、職を求める若いシングルマザーのキャンディが現れる。仕事と人生に行き詰りながら不器用にしか生きられない実直な中年男と、幼い娘を抱えてずる賢く生きているがまともな暮らしにならない女が出会い、コロナ禍を耐え忍ぶように仕事を始める。
娘ジューのため慣れない清掃の仕事を頑張るキャンディだったが、彼女には万引き、窃盗癖があって、ザクは大事な顧客を失ってしまう。それでも貧しい母娘を見捨てられないザクは、彼女にチャンスを与え生活を支えようとするが、あるアクシデントがもとでザクは最大のピンチに追い込まれてしまった。
彼女を叱りつつも情が湧いてそれが恋心になる男と、心を入れ替え仕事に打ち込んでいくがままならない女。なかなか二人の歯車は嚙み合わない。
すれ違いだった二人がそれぞれに再出発をして、彼女を誤解していたザクの「すまなかった。苦しかったろう」の言葉に号泣するキャンディ。このシーンには思わず涙腺が緩んだ。
不思議だったのは、これほどファンタジーめいた物語で、かつ障害物もないのに何故二人は結ばれないのかということ。この二人にしてみれば家族でなくてもお互いを大切に思いながら生きていけるだろうし、ザクが言う「ひどい世の中」だけど、助け合い、誠実に生きていれば希望はあるはず、そんな素朴な願いを強調したかったのかな、とは思う。惚れた弱みはあるものの女心は分からない、男はつらいものだ。
むさじー

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