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さらば、わが愛/覇王別姫 4Kのmakoのレビュー・感想・評価

4.5
《夢のような永遠の一瞬をあなたと歩んだ―》
◎90点

監督: 陳凱歌(チェン・カイコー)。
原作・脚色: 李碧華(リー・ビクワー)。
翻訳: 戸田奈津子。

日中戦争や文化大革命などを背景として時代に翻弄される京劇役者の小楼や蝶衣の目を通して近代中国の50年を描く。
2人の男と1人の女の愛憎劇。

京劇の俳優養成所で兄弟のようにお互いを支え合い、厳しい稽古に耐えてきた2人の少年。
小豆(シャオ・トウ後の蝶衣)は、楼閣の女郎の私生児で京劇養成所に連れられるが多指症の為、断られるが母親から1本多い指を切られ捨てられるように預けられる。
石頭(シートウ)は、小豆に優しく接し、守ってくれる存在。
いつしか小豆は石頭を慕い同性愛的な感情を抱くようになる。

成長した彼らは、程蝶衣(チョン・ティエイー)と段小樓(トァン・シャオロウ)として人気の演目「覇王別姫」を演じるスターに。女形の蝶衣は覇王を演じる小樓に密かに思いを寄せていたが、小樓は娼婦の菊仙(チューセン)と結婚してしまう。
子供の頃は仲が良かった2人も、成長し大人になると想いがすれ違っていく。
蝶衣は小樓一筋だけど、小樓は菊仙の方へ。
三人の想いが交差し、微妙な関係性になっていく。

愛憎劇だけではなく、日中戦争時の様子、伝統芸能・京劇の舞台裏や隆盛期から一転し文化浄化に遭う様子を観ることができ、見応えがありました。

少年期の養成所の様子は、今では考えられないスパルタ式の練習や折檻で引いてしまった。
小豆は美形だったため性接待もさせられていて、鑑賞時ちょうどジャニー喜多川の性加害事件が露わになっていたので、そのシーンは気持ち悪くなった。

少年期の石頭は優しく頼りがいがあり小豆が想いを寄せるのも理解できたが、大人になった小樓は蝶衣が惚れるほど魅力があるように見えなかったのは残念😅
蝶衣役のレスリー・チャンの女形がとても綺麗でした✨
三人の、微妙な関係や時代に翻弄される様に終始魅了されました。
特に、レスリー・チャンとコン・リーは素晴らしい演技でした。
映像も美しかった。
劇場鑑賞できてよかったです♪

📝健忘録
◆京劇
歌、しぐさ、台詞、立ち回りにより表現を行う中国の代表的な舞台芸術。1790年にペキンで誕生したとされている。
登場人物の年齢や性別、身分などにより、役柄が主に生(ション、男性役)、旦(ダン、女性役)、浄(ジョン、隈取りをする男性役)、丑(チョウ、道化役)の4つに分けられる。養成所で決められるこの役柄は一度決められると一生変わらないと言われている。
現在はほとんどの俳優が学校で養成されるが、昔は貧困な家庭の子どもが身売りするような形で養成所に入れられ、そこでの待遇は苛酷だったとも。

◆京劇「覇王別姫」
【概要】その名の通り、“覇王”と“姫”の“別れ”を描いた京劇の有名な演目。前漢時代の歴史家・司馬遷が「史記」に詠んだ項羽と虞美人(=虞姫)の悲劇を、俳優の梅蘭芳らが京劇に書き起こした。今現在もなお古典の名作として伝えられている。
四面楚歌はこれが元になっていた。

字幕が戸田奈津子さんで驚いた😅


観客 1階席?、2階席 4人
劇場鑑賞数 #119
2023鑑賞数 #133
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