singer

白鍵と黒鍵の間にのsingerのレビュー・感想・評価

白鍵と黒鍵の間に(2023年製作の映画)
3.3
公開が決まってから、ずっと楽しみに待ち望んでた作品でした。
池松壮亮は、最近では1番好きで注目している俳優さんのひとり。
監督の冨永昌敬も「南瓜とマヨネーズ」以来で楽しみにしていたのですが、
地元の映画館では公開されなかったので、京都の映画館で観てきました。

少し想像してたものとは違って、過去と現在や、表と裏、夜と朝が交錯しつつ、
銀座の夜の街に行き交うキャラクターたちの心模様を様々な角度から描いた物語で、
まさしく白と黒、白鍵と黒鍵の対比を感じさせるようなストーリーでしたね。

少しファンタジックな要素が入っていて、時間軸を入れ替えたりする演出があって、
ちょっと戸惑ったりする部分もありましたが、しっかりと音楽の魅力や、その存在意義までに入り込むようなシーンや台詞が印象的で、いい演奏を聴いてきたなぁと思える作品だったのは良かったです。

キャストの方では、やっぱり音楽畑出身の俳優さんは、みんな良かったですね。
クリスタル・ケイ。
マイクを持って歌った時の存在感が際立ってました。
全然衰えてないというか、むしろ円熟味を増したかのような、ソウルフルな歌声が見事で、彼女の歌うシーンは、とても聴き応えがありましたね。

そして、森田剛と高橋和也の二人。
80年代、90年代と、日本の音楽シーンの中で、第一線を張って、体感してきた二人だからこそ出せる、燻し銀の渋みが、その背中から、その演技から感じられたのも良かったですね。

池松壮亮くんは、今回も安定して良かったですね。
ほぼ経験ゼロの所から、半年間猛練習して習得したという、ピアノの演奏が見事だったし、そこまで深く、役柄にアプローチする役者さんだからこそ、いつも真に迫っていて、その演技ひとつひとつに、繊細な息遣いを感じる。
やっぱり好きな役者さんの、いい演技を、しっかりと瞼に焼き付けられたので、キャスト陣に関しても、満足の行く作品だったなぁと思いました。
singer

singer